経済

2023.04.05 16:30

春闘で、大手が異例の賃上げ 相次ぐ「満額回答」の背景

持続的な賃金の上昇が鍵

賃上げへの満額回答が相次ぐ背景は、予想外の歴史的な物価高に対する一時的な反応だとする専門家の指摘もあります。持続的に賃金を上昇させる環境を整える、構造改革に繋げることができるか、といった点が、今後の課題となります。

日本の賃金水準は国際的に見ても低いままです。経済協力開発機構(OECD)による2023年の各国別賃金水準の見通しは、日本の年収が約3万2000ドル(439万円)と主要先進7カ国で最も低く、最も水準の高い米国は、7万6000ドルと、その差は2倍以上あります。

こうした現状を打破するため、1月には、岸田首相が「構造的な賃上げ」の実現に向け、リスキリングによる能力向上支援、日本型の職務給の確立、成長分野への円滑な労働移動を3つの柱とし、労働市場改革を進める決意を表明しています。

物価上昇の加速は勢いを増す中、果たして、賃金の上昇は物価の上昇にいつ追いつくのでしょうか。状況を注意深く見守る必要がありそうです。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Naoko Kutty, Writer, Forum Agenda; Naoko Tochibayashi, Public Engagement Lead, World Economic Forum, Japan

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