SVBショックで米金融株の売り止まらず 大手10機関の時価総額25兆円消失

Nikolas Kokovlis/NurPhoto via Getty Images

米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻をきっかけとした米金融株の下落が止まらない。SVBに続きニューヨーク州の中堅銀行シグネチャー銀行が12日に破綻したことを受けて、13日の米株式市場では金融株の売りが膨らみ、大手10機関の時価総額は1日で計760億ドル(約10兆2000億円)縮小した。規制当局による監視が強まり、金融機関のコンプライアンス(法令順守)コストがかさむことが警戒されている。

SVBの10日の破綻は金融機関の破綻としては米国史上2番目の規模、シグネチャー銀行の場合も3番目の規模となった。上位10金融機関の株価は13日も軒並み下落し、とくにトゥルイスト・ファイナンシャルは17%、チャールズ・シュワブは12%の大幅安となった。

SVB問題の影響が市場に広がる最後の営業日だった8日以降、これら10機関の時価総額は合計で1870億ドル(約25兆円)吹き飛んでいる。

ファクトセットのデータによると、S&P500種株価指数に組み込まれている銘柄の13日の騰落率ランキングではワースト25銘柄のうち24銘柄を金融株が占めた。

大手よりもはるかに大きな打撃を受けているのが中小の金融機関の株価だ。地方が地盤のファースト・リパブリック銀行やウェスタン・アライアンス・バンコープの株価は13日、50%以上下落し、値動きの激しさのため取引がたびたび停止される事態になった。

バンク・オブ・アメリカのアナリスト、エブラヒム・プーナワラは13日の顧客向けリポートで、地銀24行の目標株価を平均24%引き下げた。今回の問題を受けて規制当局が監視をいちだんと強化するなか、コンプライアンス対応にかかる費用が増える可能性を理由に挙げている。

ジョー・バイデン米大統領は同日、2行の破綻を受けて議会に銀行の規制強化を要請すると表明している。

一方、UBSグローバル・ウェルス・マネジメントで米州担当の最高投資責任を務めるソリタ・マルセリは13日のリポートで、「優良なユニバーサルバンク(総合金融機関)などは引き続き顧客にサービス提供していく資本も流動性も十分確保している」とし、最近の金融株急落の一部は「行き過ぎ」との見方を示している。

S&P500は13日は小幅安で取引を終えた。S&P500は金融株下落のあおりで一時、年初来の騰落率がマイナスに沈んだが、その後プラス圏に持ち直している。ダウ工業株30種平均は0.3%安、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は0.45%高だった。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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