これを受け同社の共同創業者ジャック・マー(馬雲)の保有資産は、1月のピーク時から31億ドル(約4200億円)減少し、現在は236億ドル(約3兆2200億円)と推定されている。
アリババの株価の下落の背景には、中国の消費需要の回復ペースが期待を下回ったことが挙げられる。「工場は生産を再開し、人々は仕事に戻ったが、アパレルや美容製品などの需要はまだ回復していない」と深圳の調査会社Blue Lotus(ブルーロータス)のアナリストは話す。
さらに、中国のEコマース分野で勃発した新たな価格競争も、センチメントの悪化につながり、香港市場に上場するアリババの株価は2月24日に5.3%下落した。
同社が23日に発表した2022年10〜12月(第3四半期)の決算は、売上高が2.1%増の2478億元(約4兆8500億円)で、前年同期比18%増を記録した海外部門の売上の成長に牽引された。しかし、中核事業である中国のEコマースの売上は1%減を記録した。
シンガポールのDZTリサーチのアナリストは「中国のEコマース市場は今年の後半には回復する見通しだが、アリババが以前の強力なポジションを取り戻す保証はない。競合の拼多多(ピンドォドォ)や抖音(Douyin)、快手(Kuaishou)らはいずれも市場シェアを奪おうとしている」と述べた。
かつて急成長したクラウドコンピューティング部門のアリババクラウドインテリジェンス(阿里云智能)も、勢いを失いつつある。同部門の売上は、2年前には50%という驚異的な伸びを記録したが、直近では3%増にとどまった。
中国の政府関連機関は、スマートシティ開発の一環として、クラウドサービスの利用を後押ししているが、アリババではなくHuawei(ファーウェイ)との提携を進めている。IDCのデータによると、ファーウェイは政府サービス向けのクラウドコンピューティング市場で1位となり、この分野で27%のシェアを獲得している。
アリババのCEOのダニエル・チャンは、昨年末にクラウド部門のトップを兼任すると発表し、この分野における失地回復を誓った。チャンは23日のアナリスト向けの電話会議で、ジェネレーティブAIなどの新たなテクノロジーの台頭で、クラウドの需要の高まりが期待できると語った。
アリババはまた、中国版のChatGPTの開発競争に参入し、会話型の人工知能(AI)で新たな機会を創出しようとしている。
「私は、ジェネレーティブAIが新たなエクスペリエンスと消費形式を生み出すと考えている。当社は、新たなフロンティアを切り開くテクノロジーの開発を続けていく」と、チャンはアナリストらに語った。
(forbes.com 原文)