中小企業のIT化は二極化傾向、業績や収入格差の要因にも

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これからの人手不足を踏まえ、業務の効率化や生産性の向上をはじめとしたさまざまな課題を解決する手段としてDXが必要だと叫ばれています。大企業ではDXが進んでいますが、日本企業の約9割を占めると言われる中小企業にとっては、ハードルの高い課題であり、国や企業がDXの支援策を提示していてもなかなか進んでいないと言われています。

そうした実態をソニーネットワークコミュニケーションズのサービス「NURO AI」が全国の中小企業で働く1033名を対象に、「全国中小企業のDX進捗」に関する調査を行っています。

まずIT化の進捗について5段階で評価してもらったところ、「全体的に進んでいる」(11.6%)と「大半の部署で進んでいる」(14.6%)と回答したIT化推進企業は全体の1/4程度。「1、2部署で進んでいる」(14.8%)と「計画段階にある」(19.8%)としたIT導入企業は約1/3で、なんとかIT化を進めている企業は約6割という結果になりました。

一方で、「まったく進んでいない」と回答したIT化未導入企業は約4割となり、二極化が進んでいる実態が浮き彫りになりました。

企業の業績や収入について、コロナ禍前(2019年度)と調査時点(2022年9月)で比較すると、IT推進課企業では34.7%が業績が向上し、26.2%が収入が増加したと回答。一方IT化未導入企業は、40.2%が業績が低下し、26.4%が収入が減ったと回答しています。IT化だけがこの結果につながったとは思いませんが、少なくとも影響はあったのではと考えられます。


また、IT化が進んでいない企業のうち、約半数がITか推進に必要な支援策が不明であると回答。IT化はしたいけどどうしたらいいのかわからない状態にあるようです。

ただDXという言葉に踊らされて、支援策に頼り言われるがままIT化を進めても意味がありません。なぜIT化しなければならないのか、どこから手を付けるべきなのか、しっかり課題を洗い出し、目標を立てて推進していくことが、成功の鍵となります。

出典:「NURO AI」を展開する「ソニーネットワークコミュニケーションズ」調べ

文=飯島範久

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