一方で米労働統計局(BLS)によると、米国の従業員の勤続年数中央値は4.1年だ。勤続年数は年配の人ほど長い傾向にあり、55~64歳は9.8年なのに対し、25~34歳ではわずか2.8年だ。政府職員の勤続期間は他の仕事のほぼ倍だった。
では、若い人が仕事を転々としているのはなぜなのか? また、長期間同じ仕事にとどまることにはメリットがあるのだろうか?
1. 年金制度の変化
米国では、従来型の企業年金制度が、確定拠出個人年金制度である「401(k)」によりほぼ置き換えられた。企業年金は通常、雇用主が資金を出して管理するが、401(k)は従業員が資金を出し管理する。
401(k)の大きなメリットの一つは、転職しても拠出金が従業員の手元に残る点だ。これにより、キャリアを積む上で、勤務先にとらわれない流動性が得られる。そのため今は、年金を受給するためだけに、先のない仕事や嫌いな仕事、成長が得られない仕事にとどまる必要がないのだ。
2. 退屈する若い世代
オンライン学習サイト「ユーデミー(Udemy)」が2016年に行った調査では、米国のミレニアル世代が仕事で退屈していることが判明した。その理由としては、新たなスキルを学ぶ機会がない、挑戦を与えられていない、教育を生かせていない、やることが足りない/多過ぎる、ソーシャルメディアに気を取られている、などがあった。
また、18年の調査では、従業員の転職希望理由の33%が「退屈」で、収入増を理由に挙げた人は19%だった。さらに、教育技術企業センゲージ・グループが21年11月に行った調査では、労働者の83%が今の仕事でもはや成長していると感じられないと回答した。
ジェネレーションZやミレニアル世代は、成長のためには転職が必要であることに気付き始めているのだ。
3. 雇用主に対する期待の増加
新型コロナウイルスの流行により、人々の働き方は変化した。ジェネレーションZとミレニアル世代は、意義のある仕事や、メンタルヘルスと幸福に重きを置く仕事を探している。柔軟な勤務スケジュールや、公平な給与体系、多様性あるチームを求めていて、こうしたものが得られるまで転職を続けることをいとわない。
加えて、自分が社会に変化を起こしていると感じられ、社会的責任を重視する企業で働きたいと考えている。
現代の職場は複雑さを増している。生活賃金と福利厚生、退職金制度だけをそろえればよいというわけではない。若者世代は、柔軟性や昇進の機会、教育、さらには長期有給休暇や所属感を求めている。そして、自分が求めるものを得るため変化を起こすことを恐れていない。
(forbes.com 原文)