ウォルマートは来月から、従業員の賃金引き上げに向けた投資を始める予定だ。米国部門のジョン・ファーナー最高経営責任者(CEO)が従業員に宛てたメモによると、それには通常の年次昇給と初任給向け投資を組み合わせた賃上げなどが含まれる。
これにより、米国内の店舗での平均時給は17.50ドル(約2230円)超に上がる見込みだ。賃上げは3月2日の給与支払いから反映される。
現場労働者の生産性向上ツールを手がけるカナダのワークジャムからの委託でフォレスター・コンサルティングが最近実施した調査によると、小売業界の現場で働く労働者たちは不満を抱えており、自社の本部と切り離されていると感じているようだ。
こうしたなか、ファーナーは
オイル交換など車関連サービスを提供するオートケアセンター(ACC)の運営スタッフへの投資を継続する
授業料や経費を会社側が100%負担する教育支援プログラム「Live Better U」の対象学位などを拡大する
会社側が商用車免許の取得費用を肩代わりする「Associate-to-Driver」プログラムを、サプライチェーンの従業員だけでなく自社の従業員も利用できるようにする
ことも明らかにした。
ウォルマートは数年前、米国で最も働きたくない企業の一社に挙げられていた。活動家からは、同社の賃金は低く、多くの従業員が保険料を支払えない状態にあると批判された。
賃上げをはじめとする措置によって、ウォルマートは汚名返上に動き出した。ただ、勤務スケジュールは依然として問題かもしれない。また、職場で差別などを受けた従業員による訴訟も相変わらず起こされている。
現場スタッフ、コロナ禍で重要性再認識も待遇改善進まず
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は、店舗の現場で働く従業員たちに光を当てることにもなり、彼らがどんな困難に直面しているか、組織にとってどれほど重要かが再認識された。にもかかわらず、フォレスターとワークジャムの調査によると彼らの仕事をより満足のいくものにする取り組みは不十分で、現場従業員への投資を今年計画している小売業者は少数派にとどまっているのが実情だ。
ファーナーは「店舗従業員たちが顧客重視で仕事をしてくれているように、会社側も店舗従業員たちへの投資を重視していく」と強調している。
(forbes.com 原文)