皆さんの中には、アボカドを数個買ったものの、まだ硬いため数日置いておいたらいつのまにか熟してしまい、全て食べ切れなかったことがある人がいるかもしれない。切ってみると中が黒くなってしまっていて、きっと昨日なら食べごろだったことに気付くのは、がっかりしてしまうものだ。
アボカドはどう保存すればよいのだろう? 鮮度を長く保ったり、逆に早く熟させたりする方法はあるのだろうか? 米食品技術系スタートアップ「アピール・サイエンシズ」の生物学者サバナ・ブレーデンに聞いた。
同社は、植物由来の物質から、農産物の日持ちを良くする保護膜を開発した。この膜によって水分を閉じ込め、酸素に触れない状態することで、腐敗を遅らせることができる。ブレーデンは過去5年間にわたり、アボカドなどの農産物が熟し傷む過程を生理学的側面から研究してきた。
筆者:最も良いアボカドの保存方法は?
ブレーデン:ちょうど良いタイミングで熟させ、アボカドに呼吸させるという微妙なバランスが大切。まずは室温で熟させてから冷蔵庫に入れると、風味を最大限に引き出せる。
筆者:科学的な視点から見て、アボカドの変色を防ぐ最善の方法は?
ブレーデン:アボカドを切ると、壊れた細胞の中の分子が他の分子や酸素と反応する。酸素との反応を防ぐことで、変色は防げる。一般的な対処法として、空気に触れる部分にラップやライム果汁をかけたりすることがある。ラップは酸素との接触を防ぎ、ライム果汁に含まれる酸は変色の原因となる反応を防ぐ。
アボカドの表面にさらに油を加え、酸素との接触を防ぐやり方も最近流行っている。スライスしたアボカドを水に浸す人も多いが、水に入れると副反応が起きて変質につながる可能性がある。
筆者:アボカドの成熟は早められる?
ブレーデン:アボカドやバナナなど、収穫後に一定期間置いておくことで成熟する追熟型果実(クライマクテリック型果実)は、エチレンと呼ばれる物質が作られることで一気に成熟が進む。アボカドを他の追熟型果実と一緒に置いておけば、相互作用により成熟が早まる。比較的暖かい場所に保管し、熟すまで冷蔵庫に入れないようにすることでも、成熟を早められる。
(forbes.com 原文)