コロナの影響で「がん診断検査数」が一時的に減少

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新型コロナウィルスの感染拡大によって、医療体制が逼迫。他の病気の治療や検査が制限されていた事実はこれまでたびたび報じられてきたが、それはがん治療でも変わらない。

千葉大学医学部附属病院は、ちば県民保健予防財団との共同研究によって厚生労働省が蓄積しているレセプト情報などを利用して、コロナ禍前の2015年1月からコロナ禍の2021年1月までに、がん診断のために行う検査の数がどう変化したのかを調査した。対象の検査は、胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査、肺X腺検査、マンモグラフィー子宮頸部細胞診などの合計14種類。

結果、それらの「がん診断検査数」がパンデミック直後に一時的に減少していたことを初めて確認。 多くの検査はパンデミック直後の2020年4月と7月に減少し、その後速やかに回復したが、検査によってはやや長期で影響を受けたものもあり、減少分を補うほどの増加は認められなかった。そのため、一部のがんの未発見やその後の予後の悪化が懸念されている。

胃の内視鏡検査数の推移 ※年に4時点(1月、4月、7月、10月)を観察。以下同じ

他のがん診断検査数の推移(抜粋) 
黒線:観察された検査数、赤線:パンデミック前の推移から予測されたパンデミック中の件数(パンデミックがなかったと仮定した場合の検査数の予測値)、赤枠:パンデミックがなかったと仮定した場合と比較した減少量

ちば県民保健予防財団の藤田美鈴 主席研究員は、「これまで『がん検診数』(保険適応外)や『がん診断数』の減少は確認されていたが、『がん診断の検査数』(保険適応)の減少を確認したのは、今回が初めて。がん検診の一時的な中断や不要不急の検査、受診の自粛は各国でも起きており、本研究が世界的な影響を知る上で有益だと考える」とコメントした。

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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