まだメタバースではないメタバース
2021年10月、FacebookがMetaに社名変更したことを受けて、下図のGoogleトレンドからもわかるように、世の中のメタバースへの注目度は一気に上がった。そこで事業者が考えることはただ一つ。「この波にいかに乗るか」である。なかでもこの動きに敏感だったのが、ARやVRなどの「XR領域」、「3Dゲーム領域」、ブロックチェーンゲームなどの「Web3領域」の3つ。彼らが、マーケティングワードとしてメタバースを利用したことで、XR技術、3DCG、ブロックチェーン技術のどれか1つでも使っていればメタバースであるというゆるい定義、「広義のメタバース」が生まれた。
そうして、本来オープンに繋がっているはずの「メタバース」を冠するサービスが独立して無数に誕生する奇妙な状況が生まれた。
広義から狭義、本質へと向かう潮流ではあるが、現時点で注意したいのは、広義のメタバースには必ず事業者のポジショントークが混入しているという点だ。しっかりとその意図を認識することで、言葉に翻弄されるのではなく、正しくメタバースに取り組むことができるようになるはずだ。
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