「外国の企業が、その国にとって大切な場所でカウントダウンイベントを任せてもらえるのは光栄なこと。行政の協力もありすばらしいショーをつくることができます」と髙橋氏は語る。また3年ぶりとなった今回は、シンガポールならではの事情もショー開催の後押しになったという。
「シンガポールでは現在、地下鉄や病院内などを除き、日常的にマスクを着用する必要はありません。人数制限なしでショーを開催できます。自己判断に任せるのではなく、国が認めているため国民は保守的になることなくすでに多くの人がマスクをしない生活に戻っています。イベントで声を出してもいい」
こうした状況は主催者にとって非常にありがたいものだ。すべてにおいてバシっと決まるシンガポール政府の対応が、イベントの復活が決まった理由の1つにもなったという。
他社にコンテンツを預けてもらえる強み
この「STAR ISLAND」はショーはすでに確立されていたが、エイベックス・アジアではコロナ禍後の再開を見据えてさらなるブラッシュアップを続けていた。「過去にイベントの協賛をしている会社で働いていたこともあり、スポンサーサイドのうずうずした気持ちもわかりました」と髙橋氏はいう。見るものを魅了する世界レベルのトップコンテンツとなっているSTAR ISLANDをいっしょに創り上げていこうと今回、日本唯一の国際カードブランドであるJCBとアジアで圧倒的な強さを誇るハローキティなどのIPを有するサンリオが協賛。ショーではDJに扮したハローキティが会場を盛り上げたり、それぞれの企業ロゴがドローンによって夜空に描かれた。
写真提供:STAR ISLAND 2022
今回のショーはシンガポールで行われたが、エイベックス・アジアはその他のアジア各国でも幅広くビジネスを展開。2022年5〜7月には、中東・サウジアラビアにおいて人気アニメコンテンツの体験型イベントエリア「アニメビレッジ」を現地のセラ社とプロデュースしている。また、アニメビレッジでは『機動戦士ガンダム』や『鬼滅の刃』『ゴジラ』『進撃の巨人』『パックマン』といった「オールジャパン」とも呼べるアニメをはじめとしたIPの体験型展示があった。
髙橋氏は「自社だけでなく、他社のコンテンツも扱うことができるのも私たちの強みです。自分たちでアーティストというIPを生み出している会社だからこそ、IPのブランディングの方法も知っているため安心して他社のコンテンツも預けていただいてます」という。
また、シンガポールやサウジアラビアなどさまざまな慣習がある国でイベントを開催できたことからもわかるように、エイベックス・アジアは各国政府との連携も得意だ。同社は日本企業とアジア各国をつなぐ窓口としての役割も今後、もっと加速していきたいという。
「エイベックス・アジアは『B to C』や『B to C』だけでなく『B to G(政府)』も大事にしている会社です。自社だけでなく他社のさまざまなコンテンツも扱える『プロデュース力』で、STAR ISLANDをはじめさまざまなイベントなどをアジア・中東の各国で展開していきます」