「このデータは、南半球のほとんどの国が、プラットフォーム労働市場におけるリモートワークのグローバルなネットワークにわずかしか接続されていないことを示しています」と研究者は説明している。「国内では、リモートワークの流れは都市部に集中しています。これらの都市には高度なスキルを持つ労働力が集中しているからです。『好景気に沸く大都市』と『崩壊した地方都市』という経済的な構図が、プラットフォーム経済において完全に展開されているのです」。
都市部が市場を支配している
これらの要因から、都市は集積効果によってイノベーションと経済活動の両方を支配する傾向があると同時に、リモートプラットフォームの仕事の大半を引き寄せていることになる。
典型的な例では、高所得の都市で生まれた仕事が、東欧、南アジア、フィリピンの都市で実行されているケースだ。つまり、南半球の国々はこれまでのところ、リモート労働市場においてわずかな役割しか担っていないことを意味する。
さらに、都市に住む人々は農村に住む人々よりもはるかに多くの収入を得ており、都市で働く人々は農村で働く人々よりも時給が最大で53%も高い。リモートワークによって経済的な繁栄が国中に広がるはずが、むしろ地域的な不平等を固定化させているようだ。
より公平なアクセス
この状況を改善し、地方出身者にも同じ機会を与えるために、プラットフォームと政策立案者の双方ができることは数多くある。
例えば、研究者らは地方がより大きな経済開発プロジェクトに組み込まれるように、政府主導のデジタルワークプログラムを提唱している。同様に、新たなリモートワーカーには、プラットフォーム実習のようなかたちで、まだ経験の浅い人にランダムに最初の仕事を割り当てて、信用を獲得させるという方法も良いだろう。
政策立案者は、地方におけるブロードバンドアクセスやスキル開発などの分野にも投資し、成功のための要素を揃えるべきだ。また、政府内での調達部門にリモートプラットフォームワークが組み込まれるようにすることも考えられる。
最後にリモートワーカーにネットワーク構築、知識交換、スキル開発を可能にする物理的なミーティング場所を提供するために、コワーキングスペースを設立することもできるだろう。
「我々は、リモートワークが経済的なエンパワーメントと成長の手段になりうると信じています」と研究者らは結論づけている。「しかし、そのためには、リモートワークをより広範な経済・労働市場開発スキームに組み込み、不利な立場にある地域が地元のスキル開発およびインフラに投資できるように支援する必要があります。地域が繁栄してこそ、リモートワークは世界的に成功することができるのです」と語っている。
(forbes.com 原文)