「缶コーラ」の可能性は大きい
なぜ缶コーラなのか。その理由はいくつかある。
現在、伊良コーラでは、炭酸で割って飲むための原液「魔法のシロップ」と、そのシロップを炭酸で割ったものを瓶詰めした「IYOSHI CRAFT COLA」を定番商品として販売している。
最も気軽に飲むことができるのは瓶だが、重く、割れるという難点がある。瓶の重さは海外に販売する際にも、輸送費の面でネックになっていた。
「缶であれば、日本全国での展開やその先の海外への流通を行いやすくなり、今よりももっとたくさんの人に飲んでもらえるはず」
缶コーラの可能性は大きい。缶は軽量で、遮光性の高さなどから品質の劣化も抑えられる。また、クラフトビールなども瓶から缶に移行して人気が出ており、大手メーカー以外も「缶」に参入する流れが世界的な進行している。
「缶コーラ」開発への決断を後押ししたのは、事業家・堀江貴文の言葉だった。2022年4月に行われたイベントで、リモートで話す機会があり「缶コーラをつくるのがいいよ」と助言をされた。このとき、挑戦しようと心に決めた。
缶でもこだわるのは「コーラ感」
伊良コーラは、10種類ほどのスパイスを調合してつくられている。小林が大事にしているのは「コーラ感」だという。
「コーラ感」の源流はコカ・コーラの味だ。世界中の多く、おそらくすべての人が知っているであろうコーラの味から遠くなってしまうと、もはやそれは「コーラ」とは呼べない。伊良コーラは、コカ・コーラとは違う個性を持ってはいるものの、老若男女誰が飲んでもしっかりと「コーラ」だと感じられる味を目指している。
缶コーラでも当然ながら「コーラ感」は重要だ。そして、既存の伊良コーラを飲んだことがある人にちゃんと「伊良コーラ」だと認識してもらいつつ、まだ飲んだことがない人にも伊良コーラの個性を感じてもらえるものでなければならない。
缶製品の生産ラインに合った形でこの点を表現するのが難しかった。伊良コーラにはスパイスの粒が含まれているが、工場のラインで原材料の“詰まり”が発生することは許されない。つまり、まったく新しいシロップを開発する必要があった。