ビジネス

2022.12.27

米小売業界の2022年予想返品率は16.5%、不正返品も多数

Andrii Zastrozhnov / Shutterstock.com

2022年のホリデーシーズンは返品が急増すると予想されていたが、全米小売業協会(NRF)によれば、2022年1年間の返品率は昨年と同水準になる見込みだ。ただし、返品される商品の総額は8160億ドルと、昨年より増えそうだ。

NRFと、データ分析企業アプリス・リテールが2022年12月14日に発表したリポートでは、今年2022年の返品率は16.5%と、2021年の16.6%とほぼ同じになる見込みが示された。

ホリデーシーズンに限れば、商品返品率は17.9%、金額にして1710億ドルと予想されている。

また、2022年1年間で返品される商品の総額は8160億ドルで、昨年の7610億ドルを550億ドル上回る見込みだ。返品商品の総額が増加するのは、小売り売上高と価格の上昇が原因であって、返品数が増えたわけではないと、リポートでは説明されている。

2022年の小売り売上総額は4兆8600億ドルになる見込みだ。昨年2021年は4兆5830億ドルだった。

このリポートは、2022年秋に小売企業70社を対象に実施した調査をもとにしている。それによると、売上高10億ドルあたり、1億6500万ドル分の商品が返品されたことになる。この調査ではさらに、不正返品によって小売店が被る損失は、返品された商品100ドルあたり10ドル40セントになることも明らかになった。

調査に回答した小売店の半数(50%)は、使用済みの商品や、欠陥のない商品が返品されるという詐欺的な行為に悩まされている(返品を前提に商品を購入し、使用してから返金を求める「ワードロービング」という行為が問題になっている)。一方で、41.4%の小売店が、万引きされたり盗まれたりした商品が返品されたケースがあったと回答した。

なお、同調査では、オンラインでの返品率と全体の返品率が一致していることがわかった。これは、同リポートがオンライン販売のデータ収集を開始して以来、初めてのことだ。2022年のオンライン販売の商品返品率は16.5%が予測されており、2021年の20.8%から低下している。

NFRとアプリス・リテールのリポートは、2022年にオンライン販売された商品1兆2900億ドルのうち、2120億ドル分が返品されると予想している。また、返品商品のうちの228億ドル分、割合にして10.7%は不正返品となりそうだ。

実店舗での売上高は3兆6600億ドル以上とみられ、そのうちの6030億ドル分が返品される見込みだ。また、返品商品の10.3%、621億ドル分は不正返品になる見通しだ。

NRFの調査開発および業界分析担当バイスプレジデントのマーク・マシューズ(Mark Mathews)は、今回の調査結果を発表した際に、以下のように述べた。「小売り売上高が29カ月連続で増加しているにもかかわらず、消費者が小売店に商品を返品する割合は、2022年に入ってからも引き続き一定に保たれている」

小売店は、返品にかかるふたつの費用(売上損失とコスト)を負担しており、調査に回答した小売企業の44%は、返品処理にあたる従業員を増員するつもりだと述べている。

しかしマシューズは、返品について、明るい面に目を向けることにしたようだ。「返品を受け付ければ、顧客とやりとりを交わし、場合によっては別の商品を購入してもらえる流れもできるだろう」

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

ForbesBrandVoice

人気記事