筆者の知人もほとんどが、特典やポイントプログラム付きのクレジットカードやその他の決済用カードをもっている。利用額に応じてポイントなどが付与される仕組みで、ポイントをできるだけ多くためようと、支払いはなるべくカードでしようとする人も多いだろう。
そうやってためたポイントは商品の購入に直接利用できたり、商品や商品券などと交換できたりするわけだが、費用は誰が負担しているのだろうか。カードの発行会社が決済の手数料からひねり出しているのか。加盟店が価格に上乗せしているのか。それとも、カードの所有者が何らかのかたちで支払っているのか。
シンガポール国立大学と国際通貨基金(IMF)、米連邦準備制度理事会(FRB)の経済学者やエコノミストによる最新の研究が、その問いに答えてくれている。結論から言うと、特典の費用はカード所有者の一部が負担している。
カード所有者のなかには、購入や利用残高の管理の仕方によって、利益を得る側になる人もいれば費用を負担する側になる人もいる。研究グループは前者を「洗練された消費者」、後者を「素朴な消費者」と名づけている。
ポイントプログラムは消費者をより多く支出するように仕向ける。洗練された消費者の場合、カードの利用残高を定期的に完済し、ほとんど、あるいはまったく費用を負担せずに特典を得ている。一方、素朴な消費者は、それほど頻繁には利用残高を減らさない。そのため、残高に対する金利や手数料の負担が特典による利益よりも大きくなっているというわけだ。
カードの発行会社もいくつかの経路で利益を得ている。特典付きのカードは一般に特典なしのカードよりも金利が低い。だが、特典によってより多くの支出が刺激されるため、素朴な消費者は特典なしの場合よりも残高が膨らみ、結果として利払い総額も多くなる。また、特典付きカードの場合、洗練された消費者もカードでの支出を増やすため、カード発行会社は加盟店からの手数料収入も増えることになる。
つまり、毎月、利用残高をしっかり返済し、金利や手数料の負担を回避しているカード所有者は、フリーランチを享受している。彼らの代金は、残高の管理がもっと緩いカード所有者や、カードの加盟店が支払っている。
(forbes.com 原文)