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2022.11.28

物流・建設業界のリアルな問題点が社員のクチコミから判明

Getty Images

物流と建設業界で働く社員や元社員がクチコミサイトに投稿した「不満」を分析したところ、一般に離職理由とされることが多いものに混じって、いくつかの重要な問題点が浮き上がりました。そこに示された雇用者側が注視すべきキーワードは、女性、リモートワーク、副業です。

会社に関するクチコミのプラットフォーム「ライトハウス」には、さまざまな業界の社員や元社員からのクチコミが寄せられています。2022年上半期に投稿されたクチコミの数は4万2081件ありましたが、そのうち物流および建設業界からのものが全体の6割近くを占めました。そこで「不満買取センター」を運営するインサイトテックが物流と建設業界のクチコミに絞って内容を分析したところ、多かった話題の上位10件には、給与、休憩、残業といったお馴染みの問題に加えて、女性、リモートワーク、副業が入っていました。

「女性」については、「女性が働きやすい」、「女性が多い」といったポジティブな意見が多くを占めていました。なかでも、休暇のとりやすさと育児のバックアップが整っていることが高く評価されています。インサイトテックは、「子育てへの理解者の多さが働きやすさを感じる1つのポイント」と推察しています。

「副業」は、とくに運輸と郵便業からの意見が多く、副業が許されていないことへの不満が目立ちました。これらの人々は、生活のために副業が可能な企業へ転職する可能性があるとインサイトテックは話しています。

「リモートワーク」は、「許可されていない」、「まったくできない」、「厳しい」といった否定的なクチコミが目立ちます。またこの問題は、残業や休暇といった働き方への不満とも深くつながっているようです。リモートワークが難しいという現状を通して、休暇の日数や時間外労働の制限に関する会社の約束が守られていないという意見が見られます。

つまり、子育てに理解を示す、副業を許す、リモートワークを推進することで、定職率の向上が期待できるわけです。

またこの分析結果は、これらの業界の3つの優先課題も指摘しています。ひとつめはネガティブな感情からわかる優先課題、「働きがいを感じない」というものです。とくに「レベルの低い上司」や「周囲のフォローがない」といった人間関係、「業績が評価に反映されない」といった評価制度に対する不満です。

ふたつめはドライバーから見た優先課題です。ここで求められたのは、仮眠室とシャワー室、男性以外のドライバーに配慮した設備の設置です。とくに仮眠室とシャワー室の有無が会社のマイナス評価になる傾向があるとインサイトテックは指摘しています。

そして、建築と土木系エンジニアから見た課題として、休日出勤の問題がありました。「週6勤務が常態化している」、「土日休みというのは内勤者だけ」で自分には適用されないことを配属後に知った、採用時に説明してほしかったといった不満が示されています。

選択式の従業員アンケートではわからない社員の本音が聞けるのがクチコミだと、インサイトテックは話しています。クチコミの重要性を感じている企業の人事担当者も増えていると言います。こうした社員の本音から、定職率の低下や人手不足の問題が解消されることを願いたいですね。レポートの詳細はこちら。

文 = 金井哲夫

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