「大学入学は、ひとつの節目だ。若者たちは実家という安全でなじみ深い環境を離れ、未知の世界に踏み出していく。まったく新しい環境は、自由を感じさせると同時に不安をもたらすものでもある」と、研究チームは論文で述べている。
優秀な学業成績を修めるためのメンタルヘルスとモチベーションを維持するには、自主性や知的能力のほか、満足感や充足感をもたらす社会とのつながりが必要だと心理学者は指摘する。自由度の高い生活と、親密で相互信頼に基づく他者との深い関係を築きたいという欲求から生まれるFOMOに、大学生がどのように対処しているかを詳しく調べるため、研究チームは、472人の参加者を対象に調査をおこなった。
研究チームは、標準的な統計解析ツールを利用して、472人の大学生から得られたデータを機械学習の手法で分析した。その結果、突出して高いFOMOを経験した大学生は、学業上の不正、毎週のアルコールおよび大麻の摂取量の増加、興奮性薬物の摂取、さらには窃盗に走る確率が高いことがわかった。
研究チームは、こう指摘している。「FOMOを軽減させようとする学生たちは、薬物を使用して「周囲に溶け込む」、あるいは、社会的なつながりへの欲求を満たせる同世代集団に加わるといった方法をとるだろう。したがって、学生のFOMOの水準から、薬物使用リスクが予測できる可能性がある。学生たちは、周囲と自分の比較によって、標準的とされるベースラインを変化させるからだ」
「高いFOMOを示した学生は、総飲酒量を増やしてはいなかったが、一度の飲酒の機会に、より多くアルコールを摂取し、結果としてよりネガティブな体験をしていた」
研究チームはまた、大学生活への適応に問題を抱えている学生と接するカウンセラーに向けて、定期的にFOMOの評価をおこなうことを提唱している。
研究チームは、以下のように論じている。「FOMOと集団に関する情報をもとに、我々は、複数の領域(アルコールおよび薬物の摂取、学業上の不正、違法行為)にわたって、大学生の属性(違反者または薬物使用者であるか、そうでないか)を予測することができた。そして、予測の精度はベースライン(50%)を大きく上回った(例えば、学業上の不正に関しては87%だった)」
「以上の結果は、FOMOが単に不快な現象であるだけでなく、個人と社会に対して、実体を伴う負の影響をもたらしうることを示している」
(forbes.com 原文)