意義のある規模で持続的な変化を起こすには、「反乱」行為が必要だ。それには、勇気と、共通の目標を目指す団結力、そして引き際を心得ることが必要となる。仕事を辞めるべき時期を判断するのは容易ではないが、辞めますと言ったときにはすでに遅すぎることが多い。辞めるタイミングを見計らうのが得意な人は少ないが、怒りが頂点に達すれば、行動を起こさねばならない。
そうした場合は通常、以下の三つの選択肢がある。一つ目はストライキの決行、二つ目は退職、そして三つ目は、職にはとどまるものの仕事に対して最低限の努力しかしない状態となる「クワイエット・クイッティング(静かな退職)」だ。米国のCEOと一般労働者との賃金格差が670倍という状況では、人々が怒るのも無理はない。経済の先行きが不透明で、生活費が高騰している状況では、この格差は許しがたい。
こうした「反乱」は、既に起きている。労働組合員たちは、公平な賃金を求めストライキをたびたび実施。昨年のこの時期には、米国の労働組合への支持が1965年以来の高水準に達した。これまで労働組合が存在しなかったテック業界や専門サービス業界で、労組結成の動きが出ている。これに、伝統的な働き方のパラダイムを拒否する若者世代の労働者が加わり、大いなる反乱の環境が整っている。
リーダーの立場にいる人々は、こう自問すべきだ。自分はどうすれば、不満がまん延する中で、自社事業の改革を求めるリアルな声に耳を傾けられるだろうか? 公に反乱を起こす人々とどうやって協力し、その力を問題解決へとつなげればよいのか? 不満を声高に叫ぶのは簡単だが、不満の声を生産的な行動へと変えるのはずっと難しい。
組織の上層部は、報酬体系をしっかり見直す必要がある。賃金は公平か? 生活費が高騰する中で、賃金アップや手当の支給で従業員を支援できるか? できないのなら、その理由をきちんと説明できているか?
過去2年の間に、「どのように」「どこで」働くかをめぐる状況は変化した。次の変化は、「誰のために」「幾らで」をめぐるものになるだろう。これは、現状を打破し、誰もが少々の利益を得られる状況を作り出すチャンスだ。
この「大いなる反乱」は、うまくやれば、皆の利益につながる変化を生み出せるかもしれない。
(forbes.com 原文)