米国のインフレで、ホリデーシーズンの消費者行動に変化

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2022年のホリデーシーズンが近づくなか、買い物客たちが懸念しているのは、何と言っても現在のインフレだ。コンサルティング企業KPMGがこのたび発表したホリデーシーズン市場予想によると、物価高騰の影響で、消費者がプレゼントに割く予算や、贈り先について再考を迫られていることが明らかになった。

KPMGリポートによると、調査対象となった消費者は、「多少」「ある程度」「非常に」と程度の差はあれ、合わせて85%がインフレを「懸念している」と回答した。

さらに消費者は、2022年のホリデーシーズンは昨年よりも出費が増えるものの、プレゼントを贈る相手は減るだろうという見方を示した。加えて、贈る品のジャンルをより安価なものに切り替え、財布に優しい店舗で買い物をしたいと考えていることもわかった。

KPMGの消費者および小売全米セクターでリーダーを務めるマット・クレイマー(Matt Kramer)は、「消費者の行動には、インフレに対応する形での変化がみられる」と指摘する。「消費者が重視しているのは、手頃な価格と値ごろ感だ。明らかに、生活必需品とされるカテゴリーへのシフトを始めている」

「消費者が今後出費が増えると考えている必需品のカテゴリーとしては、食料品、自動車、日用品、処方薬が挙げられる。そして、必需品ではないカテゴリーについては、予算を引き締める傾向がはっきりした」

2022年のホリデーシーズンに臨む小売業者は、この変化に対応し、出費を抑えたい消費者たちが求める価格帯の選択肢を提供することが重要になる、とクレイマーは述べる。

ただし、小売業者は厳しいホリデーシーズンに直面しているとクレイマーは指摘する。在庫水準が高く、サプライチェーンの経費がかさんでいるからだ。そのため、「一定の利幅を確保したいと考えるなら、販促の機会と割り切って大幅値下げを敢行する選択肢は選べない」という。

「値下げや価格設定ばかりに焦点が置かれるべきではない。顧客に対して、卓越した購買体験を提供することも大切だ」とクレイマーは述べる。「消費者の中には、(コロナ後に)再び実店舗で買い物をするのは初めてという人もいる。今後その店舗に足を運ぶ頻度は、素晴らしい体験を味わえるかどうかで変わってくる」

今回の調査で一つ予想外だったのは、実店舗での買い物に消費者が乗り気だったことだという。「顧客は、再び実店舗で買い物ができることを喜んでいる」とクレイマーは述べる。

今回のホリデーシーズンでは、増加分となる支出の大部分は実店舗に向かい、ネットショッピングでの出費は横ばいになる、とKPMGは予測している。「一部のカテゴリーについては、店員とリアルで接し、商品を見て触れ、感じる体験が求められている」とクレイマーは述べる。

今回の調査結果からは、他にも以下のような傾向が明らかになった。

・2022年ホリデーシーズンの支出予定額は平均で1072ドルと、前年比で6%増加している。
・消費者が購入する予定のギフトアイテムは、「ギフトカード・ギフト券」「アパレル商品」が上位を占めた。
・今回のホリデーシーズンでは、買い物を始めるのを11月まで待ちたいとする人の割合が40%と、前年の32%を上回った。これは、最もお買い得になるまで消費者が待つため、ショッピングシーズンが12月までずれ込むとみられる傾向と呼応している。

forbes.com 原文

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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