米CDC、エボラ出血熱への警戒を強化 ウガンダからの入国を一部制限

Getty Images

米疾病対策センター(CDC)は国内の医療関係者に対して10月6日、エボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスの感染状況に注意を払うよう警告を発した。ウガンダでは9月初め以降、数十人の感染と少なくとも10人の死亡が確認されている。

米国では同日以降、過去21日間にウガンダに滞在したすべての人を対象に、ニューヨーク地域とアトランタ、シカゴ、首都ワシントンの5カ所の空港からのみ、入国を認めることとしている。

現時点では、米国内でエボラウイルスの感染例は報告されておらず、ウガンダ国内での感染状況も、2014~16年に西アフリカ各国で大流行が発生したときと比べれば、はるかに小人数の感染にとどまっている。在ウガンダ米国大使館は、米国内でエボラウイルスに感染する危険性は、「いまのところ低いとみられる」と述べている。

ただ、CDCによると、ウガンダではここ1カ月の間に44人のエボラウイルスへの感染が確認され、10人がエボラ出血熱で死亡した。ほか20人の死亡についても原因が特定されておらず、感染が疑われている。感染例の報告は、同国では過去20年で最も多くなっている。

9月初めから流行か


ウガンダ保健省は9月20日、中部ムベンデ県でエボラウイルスの「スーダン株」の感染者が増加しているとして、エボラ出血熱の流行を宣言した。最初に感染が報告されたのは、県内に住む25歳の男性。陽性が確認された日に死亡した。その後の調査で、男性が住んでいた地域ではこの1カ月ほど前から、原因不明の死者が数人、報告されていたことが明らかになっている。

CDCによれば、エボラウイルスのスーダン株は2000年以降、ウガンダで5回、流行している。最近の流行は、2012年に起きていた。

感染した人の血液や体液に触れることで感染が拡大するエボラウイルスは、1976年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)のエボラ川近くの村で初めて検出された。

アフリカでは過去数十年間、複数の地域でエボラ出血熱の流行が起きている。西アフリカの各国に広がり、最も大きな被害を出した2014~16年にかけての流行では、ギニア、リベリア、シエラレオネで合わせて約2万8610人がエボラウイルスに感染したとみられている。このときには、感染者のおよそ39%にあたる約1万1308人が死亡した。

2014年には米国でも、4人の感染が確認された。世界保健機関(WHO)は同年、ギニアで感染者からエボラウイルスの「ザイール株」を検出。エピデミック(大流行)を宣言した。感染はこのとき、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、セネガルなどから米国や英国、イタリア、スペインなど、アフリカ以外の国にも拡大した。

CDCによると、エボラウイルスの感染が、地方部からより人口が密集する都市部に広がったのは、当時が初めてだった。流行状況を監視するシステムや公衆衛生インフラが脆弱だったことも、感染が急速に拡大した要因のひとつだったとされている。

WHOは先週、スーダン株の感染を防ぐ2種類のワクチンの治験が、近く開始される可能性があることを明らかにした。これまでに使用されているザイール株のワクチンがス―ダン株にも十分な効果を持つかどうかは、いまのところ確認されていない。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事