核爆弾が爆発すると、強烈な閃光や巨大な火球、大量のエネルギーの放出による破壊的な衝撃波が発生するが、その影響は爆弾の大きさや起爆方法、場所などによって異なるとされている。
米国疾病管理予防センター(CDC)は、爆発地点に近い人々は、顔を背けて目をかばい、顔を下にして両手を下に入れ、可能なら鼻と口を布で覆って身を守ることを勧めている。オレゴン州立大学の原子力科学教授のキャサリン・ヒグリーは、フォーブスの取材に「生存者ができる最善のことは、家の中に留まることだ」と述べている。
核爆発の後に地上に降下する放射性物質(フォールアウト)を避けるためには、身を隠せる場所を探すことが不可欠だ。どんな建物でも外にいるよりは安全だが、窓の少ないレンガやコンクリート製の建物や地下室が最高のシェルターとなる。
生存者は、降下物の雲が去るまでドアや窓を閉めて換気装置を止め、降下物が堆積する屋根や外壁に近づかないことが大切だ。また、爆発時に外に居た人は汚染された衣類を脱ぎ、外気にふれた肌を洗う必要がある。
ヒグリー教授によると、広島と長崎の原爆の生存者の研究から、核爆発の影響は「震源地からの距離に応じて急速に減少する」ことが判明しており、汚染地域から人々を遠ざけることが「最善の解決策」だという。さらに、避難する際には降下物を避け、汚染された食物を摂取しないことが身を守るための最善の策だという。
ヘアコンディショナーは使わない
一方、CDCは、Radiation Emergencies(放射線緊急事態)と題したウェブ上のガイダンスで、核爆発の後にシャワーを浴びる場合は、ヘアコンディショナーを使わないように指示している。コンディショナーは放射性物質を洗い流すのではなく、髪に閉じ込め、簡単に洗い流せなくする可能性があるという。
ロシアの核攻撃の具体的な内容を予測するのは難しいが、一部の専門家はロシアがウクライナ軍に対して、あるいは軍の拠点を破壊するために、短距離型の戦術核兵器を投入する可能性が最も高いと語っている。キングス・カレッジ・ロンドンの安全保障専門家のロッド・ソーントン博士は、フォーブスの取材に、「戦術核は、都市破壊を目的とした戦略的長距離弾頭よりもはるかに小さいが、それでも壊滅的な威力を発揮する」と述べている。
プーチンは、最初の攻撃で犠牲者が出ることを避けるはずだとソーントン博士は述べ、戦争初期にロシアが奪った黒海の拠点で、その後は奪還されてウクライナの抵抗の象徴となったスネーク島がターゲットになる可能性があると指摘した。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、核攻撃への懸念が高まる中、ウクライナや周辺諸国で放射性ヨウ素から身を守るために服用する、ヨウ化カリウムの錠剤の需要が高まっていると報じている。ロシアでも、同様な懸念から、ヨウ素剤や放射線測定器の需要が急増している。
米国科学者連盟(FAS)の推計によると、ロシアは5977発の核弾頭を保有しており、米国の5428発を上回っている。ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシはソ連の崩壊後に核兵器を受け継いだが、その後ロシアに返還した。南アフリカは自国の核兵器を製造した後、自らの判断で廃棄した唯一の国として知られている。
(forbes.com 原文)