伊勢崎市(群馬県)の橋本隆も、獅子奮迅の活躍だ。建設会社から中途採用で転職したのちに、「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録と周辺環境整備を行い、観光人口を約5倍にした。また、日々勉強を重ね20超の資格を取得し、さらには都市計画担当者向けの実務書を出版。全国の公務員を支えている。
橋本隆。仕事の成果と知識の共有が評価され、LIFULL賞も受賞した
大阪市の山中正則は、生活保護関連の国の通知や通達を平易なキーワードで検索できる『生活保護通知・通達総索引』を2003年に復刻。以来、18年間更新し続けている。
山中正則。Yahoo!、トラストバンク、自治体通信、VOTE FORの史上最多4社から協賛社賞を受賞した
生活保護担当者には『生活保護手帳』と『生活保護手帳別冊問答集』という必携の書があるが、2021年度版は計1600ページを超える。さらに毎年、新しい内容も加えられるため、必要な知識・法令を得るには途方もない時間がかかってしまっていた。
山中による『総索引』は無償で共有され、今では750か所以上の福祉事務所、NPO法人、医療機関や介護施設で活用されている。
住民と建設的な関係を築き、役所の仕事につなげた取り組み
次に紹介する4人は、住民との建設的な関係をつくった公務員たちだ。
日本は高度成長期に社会インフラやセーフティーネットなどの仕事を、行政に任せ過ぎたきらいがある。税収の減少が継続的に見込まれる昨今では、一人一人の公務員が住民と建設的な関係をつくり事業を進めること、そして時には事業を改善・改革・廃止することが急務である。
大東市(大阪府)の東克宏は「民間が主役。行政はサポート」というスタンスを貫き、公営住宅の建て替えを民と協力して進め、令和4年度都市景観大賞「都市空間部門」大賞を受賞した。
「公務員でありながら、固有名詞で活動できる唯一無二の行政マン」と称される東克宏
全国各地にノウハウを広げるべく「NPO法人自治経営」を設立し、理事長に就任。公民連携事業の実践者をネットワーク化し、多様な自治・経営が行われる世の中にするための陣頭指揮を取る。
福井県庁の寺井優介の活動も、住民との信頼を構築した。県内で面白い取組みをしている100人の若者に会いに行き、SNSで発信。それが目にとまり、福井新聞社が運営するYouTubeチャンネルで「とんがりTimes」というコーナーが誕生。各人の活動を発信する機会を広げ、若者のつながりと可能性を広げている。
寺井優介(左)と杉本達治知事(右)。情熱、行動力、発信力、つなげる力、巻き込む力が評価され、電通CP塾賞を受賞した