NASAジェット推進研究所(JPL)の気候科学者ジョシュ・ウィリスは、グリーンランドが2000年代初頭から5兆トンの重量を失ったと語る。ウィリスのチームは、2002年からGrace(グレース)とGrace FO(グレースフォローオン)と名付けられた2つの衛星を使って、グリーンランドの観測を始めていた。
カリフォルニア工科大学主催の講演会で、ウィリスは「衛星Graceとその後続機Grace FOは、2000年代初頭からグリーンランドの氷河の減少を測定しています。この間にグリーンランドは5兆トン以上の氷を失っていて、(減量プログラムの)ジェニー・クレイグに掲載されてもおかしくありませんね」と語った。
地球の周回軌道上でGrace FOはGraceを追跡するように移動している。
「衛星が重いものの上を越えていくときは、重力の作用でほんの少しだけスピードが上がるのです」とウィリスはいう。「このため続いて飛ぶ2個目は最初のものにほんの少しだけ近づきます。互いに追いかけている彼らを『トムとジェリー』と呼ぶチームメンバーもいます。それはともあれ、私たちが行っているのは、それらの間の距離を極めて正確に測定し、それらが離れたり接近したりするのを観察することで、実際に土地の重量を測定することです。このことでグリーンランドのような島の重さを測ることができるのです」
また、グリーンランドの氷が減少している場所は氷床の端で、氷と温暖化した海が接する場所であることも決定することができた。
ウィリスは「氷が端から溶けていくのに、海が大きな役割を果たしているという仮説を、私たちはきちんと確認することができました」 という。
チームはOcean Melting Greenland(OMG、グリーンランドを溶かす海洋) と呼ばれるミッションを通じて、グリーンランドが氷を失っていくプロセスを記録し、氷が海と接する場所で融解が起きていることを示しただけでなく、なぜその融解がどんどん速くなっているのかも示した。
これと同時に、NASAの一連のミッション(PoseidonならびにJason 1、2、3)が、海面上昇の速度を記録してきた。
ウィリスは「海面上昇率も上がっています」という。「最初の10年間を見ると、その上昇は1年に2ミリ程度です。次の10年は約3ミリくらい。そしてこの10年は年間4ミリ、もしかしたら4.5ミリ程度かもしれません。上昇の速度が増しているので、海がどんどん上昇していくのが実際にわかります」
そして彼は、もしグリーンランドの表面氷がすべて失われた場合には、世界の海面が約25フィート(約7.6メートル)上昇すると付け加えた。
(forbes.com 原文)