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2022.09.15 14:00

遠い未来のことも考慮する人類の「長期主義」は動物には危険なもの

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発展途上国は、増え続ける人口を支えるために、米国式の工場式飼育場を導入している。また、仮に世界がそうした「集中家畜飼養施設(CAFO)」の廃止を決議しようとしても、現在の消費水準では、その移行を可能にする技術は持ち合わせていない。すべてのCAFOを、より人道的な実践を行う小規模で持続可能な農場に置き換えるには、単純に十分な土地がないのだ。植物由来の代替肉は、まだ経済的には不安定な位置を占めている。また、細胞培養肉が広く商業的に成立するかどうかを判断するのは、時期尚早である。現段階では、人類が工場での家畜飼養に終止符を打てると確信できる根拠はほとんど存在していない。

人為的な残虐行為を除いても、現在地球上には何兆では足りない動物が生息しており、そのすべてとはいわないまでも、ほとんどが何らかのかたちで苦しんでいる。獲物として狙われる動物は、捕食者に怯えて生きている。捕食者は、獲物の手足を無慈悲に引き裂いて殺す。多くの種にとって、生殖行為は強制的で苦痛をともなうセックスに始まるトラウマ的な経験だ。そして、あらゆる種類の動物は、病気や飢餓、怪我に見舞われ、何の助けも得られない。倫理学者が、たとえ自然発生的なものであったとしても動物の苦痛を考慮してはいけない理由はない。実のところ、私たちは人間が関わるものであろうとなかろうと、動物の苦しみの全容を知ることさえできない。最近の研究で、ミツバチなどの昆虫には感覚があることが示唆された。次は他の種でもそのことが判明するかもしれない。

これらのすべてが指数関数的に拡大したと想像してみよう。飼育工場、動物実験、動物園や水族館での非人道的な監禁を、私たちが他の惑星に持ち込むのだ。私たちは、自然の生活をより快適なものにする術を持たないまま、地球上の野生動物を宇宙全体に蒔き散らすことになる。その苦しみの総計は本当に計り知れないものとなる。

マッカスキルが著書『What We Owe the Future』の中で飼育工場や野生動物の苦痛を問題視しているのは立派な態度だ。だが「天文学的に良い未来は可能だが、天文学的に悪い未来は起こりそうもない」と語る彼は、そうした苦しみは最終的には消え去ると確信しているようだ。私にはそれを信じる説得力のある理由を見いだせないし、多くの動物保護団体も同じ立場だ。何兆人もの未来の人類を救い、幸せな人生を送るチャンスを与えるという考えはすばらしいと思える。しかし、もし未来の人類が、現在の私たち同様に破壊的であれば、人類の生存は宇宙の他の意識を持つ住人にとって恐ろしいことになるかもしれない。

もし、人類が緩和できる以上の苦しみを生み出すのであれば、それを無限に拡大させることは間違いだ。最も良いことをしようと考える者にとっては、それは明らかなことだろう。なので、宇宙の植民地化に時間と資源を注ぎ込む前には、まずは動物に対する虐待的な関係を整理しておこう。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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