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2022.09.07 11:00

事業をつくる人材は、内部育成と外部採用の両輪で生み出す ~じげん×コーナーの対話から浮き彫りになる新時代の人材戦略

人材はかつて経営資源として捉えられていた。しかし昨今は、資本として捉える傾向が強まっている。そうした人的資本をいかにマネジメントして企業価値の向上につなげるかが、企業の持続性を左右する時代に突入した。

副業解禁やリモートワーク、業務委託を中心とした外部人材活用の積極化の流れを受け、人的資本の対象は大きく拡大した。そのマネジメント術もまた、従来思考では追いつかないノウハウがあるようだ。

今回はプロフェッショナル人事のパラレル(複業)ワーカーシェアリングサービスを展開するコーナーの取締役COO 小林幸嗣と、ライフサービスプラットフォーム事業を展開する、じげんの人事領域の責任者である取締役執行役員 天野孝則が、企業価値につながる人的資本の未来について語り合った。



副業解禁をきっかけに大きく変化した、人事を取り巻く現状とは


──昨今の人事を取り巻く現状について、どのように分析なさっていますか。

小林幸嗣(以下、小林)いま注目されているのが、人的資本経営です。人材を資本として考え、どのように投資し、事業成長につなげていくかということが各所で議論されています。外部人材として複業者を積極的に登用するようになったのもそのひとつで

昔もいまも、人材は内部育成と外部採用の2種類でしか確保できません。しかしどのような人材を確保すべきかは、大きく変わってきています。

天野孝則(以下、天野)優秀な人材が確保しにくい時代がやってきたと感じています。その理由のひとつは「生産年齢人口の減少」。少子高齢化社会がゆえに人材の分母が減り、構造的に優秀な人材を確保するのが非常に困難になっているのです。

もうひとつの背景は「失われた30年」、国内の成長が止まってしまっていることです。高度経済成長期のように企業の持続的成長が前提となっていれば年功序列型ピラミッド形成が通用したのですが、もはや形骸化しています。

私たちじげんグループのように、事業数も多く、さまざまなビジネスモデルをもつ企業体では、人材要件が多岐にわたります。そうなると、より一層優秀な人材の定義が難しく、不明瞭になってしまいがちなのです。

これは多くの企業に当てはまるのではないでしょうか。画一的なスキルセットでは通用しなくなったということです。そこに市場変化のスピード感という要素が加われば、なおさら必要な人材は多様化します。従来の常識がまるごと否定される、ゲームチェンジが起こっていると感じています。

小林 マネタイズの方法を複数もつ企業が増えたことも、その流れに拍車をかけていると思います。じげん様の場合は、順調に成長している事業がある一方で、生まれたばかりの事業やM&A経由の事業も存在しているので、より事業フェーズにあった人材確保が難しくなっている部分があると思います。


 天野孝則 じげん 取締役執行役員

「組織デザイン」というソリューション


──じげんが抱いていた人事領域の課題について教えてください。

天野 一例を挙げますと、優秀な人事パーソンをなかなか採用できないという課題がありました。一定の応募はあるのですが、副業が解禁になったこともあり、売り手市場で優秀な人材の流入が起こりにくくなっており、採用は難航していました。

小林 採用の課題を天野様と話し合ううちに、組織の構造的な問題にも話がおよび、根本的な解決のために私たちに何ができるかと考えるようになりました。その策を練るための基礎となったのが、私たちコーナーが重視する「組織デザイン」です。

ただデザインといっても、こうすればいいというような法則があるわけではありません。組織は企業や従業員の状況に応じて常に変わり続ける必要があり、いかに変化させていくのかが重要なポイントとなります。

デザイン時に扱うのはあくまで“人”です。常に変化し、必ずしも合理的ではない面もあります。そうした要素も理解したうえで、企業ごとにデザインし、実際のプロジェクト、プロセスに落とし込んでいかなければなりません。

そのときに固有の組織の状況を観察して、どれだけ全貌を把握できるかがポイントになります。そして、変わり続けるマーケットのなかで、いかにともに考えられるかも重要です。業界リーダー企業が採用したからといって右に倣うのではなく、各企業の現状に合わせて変革をデザインする必要があるのです。

じげん様と対話した時期はちょうど、そうした変革が必要なタイミングでした。

天野 話し合ううちに、人事担当者の採用は、成果を出せるならフルタイムの正社員でなくてもよいという結論にたどり着いたのです。そうした多様性を受容できるフレキシブルな組織のあり方が、自分たちには最適だと思いました。

改革を成功させるためには、わかりやすい評価基準が必要です。私たちの場合は、それが「成果」でした。じげんに社内政治が存在せず、人格が素晴らしく結果さえ出せば抜擢される人事的な土壌が存在していたのも、功を奏したと思います。


小林幸嗣 コーナー 取締役COO

小林 
人事は経営そのものにつながります。人から事業を考えるか、事業から人を考えるかの違いはありますが、人材配置の方法しだいで、企業の成長速度は変わってくるからです。

天野 適材適所をどう考えるか。人事においても外部のプロフェッショナル人材にジョインしてもらいましたが、さまざまな施策のプラスマイナスを知り尽くし、経営視点でディスカッションができる経験値の高い人材を採用したことで、当社にマッチした組織の形が出来あがったと思っています。

必要な人材は企業のフェーズによって変わる


──優秀な人材を継続的に確保するためにはどうしたらよいのでしょうか。

天野 じげん創業時にはベンチャースピリットをもった人材が、自然と集まっていました。13年の東証マザーズ、18年の東証第一部(現東証プライム)市場上場を経てグループ規模が拡大してからは、大企業的な安定感をイメージしてやってくる社員も一定数増えた気がします。

しかし今、じげんの経営フェーズは、次の5年、10年を創るイノベーションが必要なタイミングであり、再度突破力のある人材が必要になっています。

そんな中で、当社は、成果を軸に思考・行動・評価出来るエンプロイアビリティが高いカルチャー・成長の場を創出・発信し続けつつ、合わせてダイバーシティ(内部・外部、時間・場所、年齢・性別等々)の要素をダイナミックに掛け合わせて進化していきたいと思っております。

小林 企業はフェーズによって、必要な人材が変わっていきます。社員の誰もが常に同じ方向を向いているためには、しっかりとしたパーパスが必要不可欠です。人事制度だけつくっても意味はありません。

たとえ言いづらいことだとしても、それがクライアント様にとって意義のあることであれば、私たちは提言することを躊躇しません。本気でぶつかり合って、最善の人事組織をつくっていければと考えています。なぜなら半分外様で半分社員のような立ち位置だからこそ見えてくることが、あるからです。強い思いをもって寄り添うことが私たちコーナーの提供価値なのです。

あらゆる枠を超えれば、未来に持続するビジネスが生まれる


──最後に将来展望をお聞かせください。

小林 これから先どういう組織をつくっていくべきなのか。そうしたあらゆる企業の命題を、対等な立ち位置で企業とともに考え、雇用形態にとらわれない人事ソリューションを提供していければと思っています。

天野 事業責任者・経営人材をより多く輩出し、各事業の価値を高めることを通じて、社会に貢献したいと考えています。また、年功序列ピラミッドのなかでは決してできない、内部、外部を問わない適材適所の人材を活用したプロジェクトワーク起点のイノベーティブな成功事例を生み出して、じげん発信で社会のダイバーシティに一石を投じたいですね。

コーナー
https://pws.corner-inc.co.jp/service-company/

天野孝則(あまの・たかのり)◎株式会社じげん 取締役執行役員
2002年に新卒でリクルートスタッフィングに入社。16年にじげん入社。グループ会社のブレイン・ラボに兼務出向。17年のブレイン・ラボ代表取締役社長等、複数の子会社代表やじげんの経営推進部部長を経て、20年より執行役員。21年に取締役執行役員。

小林幸嗣(こばやし・こうじ)◎株式会社コーナー 取締役COO
2006年、新卒でインテリジェンス(現・パーソルキャリア)に入社。転職サイト「doda」ダイレクト・ソーシングサービス「doda Recruiters」の立ち上げに関わった後、18年にコーナーに取締役COOとして参画。

Promoted by コーナー / text by Ryoichi Shimizu / photographs by Masahiro Miki / edit by Yasumasa Akishi

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