法執行機関やメディア、政府の情報源からデータを収集する独立組織「Gun Violence Archive」のデータによると、パンデミックの間に銃で死亡した子どもの数は、過去の傾向から予想される数値を上回っていた。
研究者によると、2020年3月16日から2021年12月までに8044件の銃乱射事件が発生し、8477人の子供が死亡していた。これは、2014年以降の子供の銃関連の死亡をもとにした予想件数よりも733件多く、1日あたりの子供の死亡件数は、約1.12件増加していた。
これらの増加は、低所得地域または黒人やヒスパニック系住民の割合が高い地域の12歳から17歳の子どに集中しており、研究者は、家庭や近隣の状況が要因として考えられると述べている。
研究者によると、この数字は過小評価である可能性があるが、銃による追加の死亡者数は、米疾病対策センター(CDC)が発表した、2020年1月から2021年12月までの新型コロナウイルスによる子供の死者数の752人と並ぶ水準という。
今回のデータは、パンデミックがもたらす間接的な影響を、病気による死亡などの直接的な影響とともに考慮することの重要性を示していると研究者は述べている。
この増加の正確な原因を特定することは難しいが、パンデミックによって心理的・経済的負担が増したことや、学校の閉鎖中に(銃が保管されていることが多い)家にいる時間が伸びたことが考えられると、研究者は指摘した。
米国では2020年から、銃による暴力が19歳以下の死亡原因の1位になり、交通事故を上回っている。背景には近年の銃関連の死亡の急増があり、特に2019年から2020年にかけての銃による殺人の急増が一因とされている。
米国における銃乱射事件はここ数年で急増し、2020年と2021年は記録的な死者数を記録した。銃乱射事件は世間の注目を集め、議員たちはここ数十年で最も重要な銃関連の法案を可決するよう働きかけたが、データによると、死亡の大部分は、家庭や街で起こる小規模な銃関連の事件によるものであることが判明している。また、自殺にも銃が大きく関わっている。
米国は、一般市民の銃器の保有率が世界で最も高い国の一つとされており、銃の販売数はパンデミックの間にさらに急増し、記録的な水準に達している。