サウジ政府は、以前から政権に反発する意見を抑圧しており、時にはその努力がアラビア半島以外にも及んでいるとして批判を浴びている。
サンフランシスコの裁判所の陪審員らは9日、44歳のアーマッド・アブアンモ(Ahmad Abouammo)が外国政府のエージェントとして行動し、記録の偽造や2件のマネーロンダリング、2件の電信詐欺を行った罪で有罪とした。
検察側は、ツイッターに2015年まで勤務したアブアンモが、ツイッターの匿名アカウントでサウジ政府を批判した人々のメールアドレスや電話番号などの個人データを提供する見返りに、現金と高級腕時計を受け取ったと主張していた。
連邦政府は2019年10月にアブアンモを逮捕し、サウジ当局にデータを渡したとされる別の元ツイッター社員を含む2名と、仲介役を務めたとされる男らを起訴していた。
アブアンモの弁護団は裁判で、彼はツイッターの中東事業のメディアパートナーシップのマネージャーとしての職務を遂行していただけだと主張した。
検察側は、アブアンモがサウジアラビアの皇太子で事実上の指導者であるムハンマド・ビン・サルマンの側近、バーダー・アル・アサカーによってツイッターのデータを渡すよう勧誘されたと述べている。これは、サウジ当局が政府への批判を抑圧するための試みのひとつで、2018年にワシントン・ポストの執筆者で政権を批判するジャマル・カショギが殺害された後に特に広く知られるようになった行為の一つだ。米国の情報機関は、サルマン皇太子が殺害を承認したと考えているが、サウジはこれを否定している。
一方、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、サウジ当局がSNS上の批判を抑圧するためのツールを設置したと2018年に報じ、イスラエルのNSOグループは、同社のスパイウェアが反体制派の監視に使われているとの懸念から、サウジとの契約を停止したと報じられた。
サウジ政府の動きは、サルマン皇太子が当初打ち出した改革派のイメージと対立するものだ。皇太子の指導の下、サウジ政府は広く批判されていた女性の運転禁止を解除したが、それでも禁止に抗議した活動家を3年近く獄中に置いていた。