FinTech Snark Tankの見解
昨年、仮想通貨取引所のCoinbase(コインベース)は、同社発行のデビットカード保有者が、所有しているBitcoin(ビットコイン)、Etherium(イーサリアム)、あるいはDogecoin(ドージコイン)をApple Pay(アップルペイ)またはGoogle Pay(グーグルペイ)とリンクすることで、小売店での購入に使用できるようになると発表した。
同社によると、ユーザーはコインベースのデビットカードを使用することで最大4%の暗号資産関係の報酬を得られる。ビットコインで1%還元、Stellar Lumens(ステラルーメン)なら4%還元される。
暗号資産の店舗購入での利用が増えている
PYMNTSの調査レポート「The US Crypto Consumer: Cryptocurrency Use in Online and In-Store Purchases」は、暗号資産保有者の30%が過去1カ月以内にオンラインで仮想通貨を使って買い物をしたことがあり、21%が実店舗で買い物をしたことがあると報告している。
PYMNTSは、店舗で暗号資産を使っている暗号資産保有者の多くが、「Mastercard(マスターカード)またはVisa(ビザ)ブランドの暗号デビットカードまたは暗号プリペイドカードを使っていて、CashApp(キャッシュアップ)とPayPal(ペイパル)などの決済会社の利用も増えていると話している」と指摘した。
しかし実際の調査結果は違っている。
「暗号資産によるオンライン購入者のうち、70%がデジタルウォレットを使い、54%がデビット / プリペイドカードを使用した。店頭購入では、74%がデジタルウォレット、66%がデビット / プリペイドカードを使用した」
暗号資産保有者がどんな方法で暗号資産による買い物をしたかはともかく、調査報告は次のように結論づけている。
「買い物の支払いに暗号資産を使うことへの関心は現実だ。暗号資産保有者が、伝統的支払い方法の代わりに暗号資産で買い物をする潜在的需要は存在している」
買い物をするまでの問題と心配
なるほど、消費者は暗号資産を使って買い物「したがっている」としよう。しかし、コインベースデビットカードを使ってそれを実行するには、多くの人々にとって対応困難な問題と心配事がある。
昨年私は、ビットコイン、イーサリアム、ドージコイン、他どんな暗号資産を使っても、コインベースデビットカードで買い物をするためには、正気を失う必要があると指摘した。
「さまざまな要素を考慮に入れる必要があります。税金、取引手数料、報酬、返金、暗号資産で購入できる商品カテゴリーなどなど」
コインベースデビットカードのホルダー予備軍にとってよい知らせは、会社がカードについていくつかの改善を行ったことだ。
・手数料。コインベースは2.49%の取引手数料を廃止した
・報酬。コインベースは報酬プログラムを改定し、カードホルダーは購入金額の最大4%を獲得して、同社のローテーション報酬方式によってビットコインやグラフ(The Graph)などの暗号資産に入金できる。次のローテーションの始まりに利用者が報酬を選択しなかった場合は、自動的に最大のバック率で報酬を得る
・入金。コインベースは利用者に対し、給与の一部または全部を手数料なしでコインベースに入金できるサービスを提供している。その結果利用者は、給与を暗号資産で受け取り、手数料なしで使用できる
プログラムの変更は前進への良い一歩だが、プログラムはまだ、おそらく永久に、暗号資産で支払う最大の落とし穴に取り組んでいない。それは税制問題だ。