米連邦準備理事会(FRB)がこのほど主要金利を予想より大幅に引き上げたことを受けて、複数のトップビジネスリーダーや金融機関が示した懸念に同調した格好だ。
カタール経済フォーラムで講演したマスクは、景気後退は避けられないというバイデン米大統領の主張への意見を求められた際、「ある時点では避けられない」と答えた。
マスクは、確実ではないものの、近いうちに景気後退が訪れることは「ないより可能性が高い」と明言。ただし、具体的な時期については言及しなかった。
マスクは以前、テスラ幹部への社内メールで従業員解雇を求めた際、経済について「とても悪い予感がしている」と述べている。
テスラの解雇について聞かれたマスクは、今後3カ月で固定給従業員の10%を削減する計画だが、時間給従業員の人数は増えると繰り返した。テスラ全従業員の約3%が解雇される見通しだという。
民間調査機関の全米産業審議会が実施した調査によると、CEOの76.1%が現在、または2023年末までに事業を展開する地域で景気後退に直面すると考えている。この調査は、FRBが金利を大幅に引き上げ、景気後退への懸念が強まる数週間前の5月に実施された。
マスクの他にも、複数の米トップビジネスリーダーが米国のきたる景気後退への懸念を示している。FRBの利上げ決定の2日前、モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマンCEOは景気後退の確率を「50%」とし、以前の30%から引き上げた。しかし、ゴーマンは「深刻、あるいは長い不況」はおそらくないとの見方を示した。
JPモルガンのジェームズ・ダイモンCEOは6月初め、景気後退に明確に言及することなく、ウクライナでの戦争と高インフレによる経済的「ハリケーン」を警告。ダイモンは、JPモルガンが「悪い結果」に備えていると述べた。
同様に、ウェルズ・ファーゴのチャールズ・シャーフCEOは2022年5月、「ある種の不況を避けるのは難しい」としつつ、深刻な不況になるとは予想していないとの考えを示した。
FRBは先週、金利を75ベーシスポイント引き上げ、誘導目標レンジを1.5〜1.75%に設定した。28年ぶりの急激な上昇だ。
この措置は、米国の消費者物価が40年ぶりの高水準となり、5月の年インフレ率が8.6%に急上昇したことが労働省発表のデータで示されたことを受けてのものだ。
このほど支持政党を民主から共和へと鞍替えしたことについて語ったマスクは、2024年の大統領選挙で特別政治活動委員会(スーパーPAC)の資金調達のために「少額ではない」約2500万ドル(約34億円)を支出する予定だとインタビューで語った。しかし、ドナルド・トランプの立候補を支持することについては「現時点では未定」と述べ、態度を明らかにしていない。