二酸化炭素からステーキ? 代替タンパク質、驚愕の最新事情

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「虚空」からもタンパク質?

「大気二酸化炭素に、フライドポテトとケチャップを添えていかがですか?」カリフォルニア州バークレーのエア・プロテインやフィンランドのソーラー・フーズのようなスタートアップ企業なら、この問いに心の底から「イエス!」と答えるだろう。

これらの企業はいずれも大気二酸化炭素と再生可能電力、そして水を使った微生物発酵技術を用いて食品を生産している。ファイ同様、この革新的な代替タンパク質技術もNASAと関わりがある。

1960年代、NASAは水素細菌と呼ばれるバクテリアが水素を代謝することで、空気中の二酸化炭素をタンパク質に変えられるのを発見した。生成された無味無臭のタンパク質は、従来の食品のような見た目や味に加工することができる。ソーラー・フーズによると、この技術は植物とまったく同じ方法で、もっと効率よくタンパク質を生成できるという。


Getty Images(空気からつくられたソーラー・フーズ製「ソレイン」は、気候にやさしい食糧生産の未来を象徴している)

エア・プロテインのウェブサイトによると、同社の代替タンパク質は「ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富で、9種類の必須アミノ酸と大豆の2倍のアミノ酸を含んでいる」。エア・プロテインはこれまでに代替チキン、代替フィッシュ、代替ホタテの製品を試作している。

フィンランドの食品技術企業ソーラー・フーズも空気からタンパク質をつくっている。同社の「ソレイン」は「最も自然な形のタンパク質」と銘打たれた粉末タンパク質だ。ソーラー・フーズは現在、「世界初の持続可能な代替タンパク質」を工業規模で生産するための設備を建設中で、すでにヴィーガン向けのハンバーガー・パテや植物ベースのミートボールを含む約20種類の製品を試作している。

ソレインに含まれる栄養素はタンパク質が65~70%、脂質が5~8%、食物繊維が10~15%、ミネラルが3~5%と、乾燥大豆や藻類によく似た構成になっている。

ADMによると、増え続ける世界人口を持続的に養い、顧客の高まる健康志向に対応するために、代替タンパク質業界の需要は今後も加速するという。

「現在の予測では、人類が過去8000年間で生産した以上の食料を今後40年間で生産しなければ、世界人口を養えない」とADMは言う。「従来のタンパク源にとどまらない代替食品が不可欠になる」

翻訳・編集=大谷瑠璃子/S.K.Y.パブリッシング・石井節子

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