「サイバー・ロデオ」と呼ばれるイベントには、1000人以上の招待客やファンたちがつめかけた。マスクは来年までに、この工場で少なくとも年間50万台の自動車を生産すると述べた。当初はハッチバックのモデルYを生産し、来年にはサイバートラックや、新型ロードスターとテスラセミを生産するという。
「モデルY の生産ラインは、世界のどのラインよりも高い生産能力を持つものになる」と、黒のカウボーイハットに黒のサングラス、黒のギガテキサスTシャツに身を包んだマスクは語った。「1つの工場で年間50万台というのは際立った数字た。この施設は、アメリカで最も生産台数の多い自動車工場になる」
テキサス工場の開設は、気候変動への懸念や原油価格の上昇により、EV(電気自動車)の需要がこれまで以上に高まったタイミングと重なった。オースティン工場がフル稼働すれば、テスラはベルリン工場や上海ギガファクトリー、フリーモント工場との合計で、年間約200万台の製造キャパシティを持つことになる。同社の2021年の製造台数は、約93万台だった。
フリーモント工場が、複数の建物で構成されているのとは異なり、ギガ・テキサスは一つ屋根の下にすべての製造施設を収容する巨大工場で、その場でバッテリーを組み込むためのラインも含まれている。ギガ・テキサスの総面積は3億3800万立方フィートで、マスクによると「ペンタゴン3つ分」に相当するという。
この工場は、自動車の製造に加えて、早ければ来年には人型ロボット「オプティマス」も生産するとマスクは述べた。昨年のテスラの「AIデー」でお披露目されたオプティマスを、マスクは頻繁に宣伝しているが、アナリストやロボット工学の専門家たちは、あまり評価していない。
数十億ドルをかけて建設されたテキサス工場は、最大限の効率化を目指して設計されており、バッテリー部分と、車両の前部と後部という3つの主要なパーツから車両を製造する。
「現代の飛行機が翼の中に燃料タンクを格納しているように、モデルYは、パッテリーそのものが荷重を担っている。その結果、車両が軽くなり、部品点数が少なく、衝突性能も向上する。この構造は、コスト面でも安全面でも有利になる」とマスクは語った。「3つの主要な部品で自動車を作るというのは、クルマ作りの革命だ」と彼は付け加えた。