「ダビンチ、エクス・ザイデル」と呼ばれるこのバイオリンは1714年、イタリアの著名な楽器職人アントニオ・ストラディバリが製作した名器「ストラディバリウス」の一つ。19世紀にいくつかのコレクションを転々とした後、1924年にロシア出身の著名バイオリニスト、トーシャ・ザイデルの手に渡った。
米国に移住したザイデルは米CBSで自身のラジオ番組を持ち、同局では音楽監督も務めた。ザイデルはこのバイオリンを40年近く保持し、『別離』などのハリウッド映画のサウンドトラックで使用した。
弦楽器を専門に扱うニューヨークの競売会社タリシオ(Tarisio)は、このバイオリンが1500万~2000万ドル(約18億~25億円)で売却されると予想している。ギネス世界記録によると、競売で過去最高値がついた楽器は2011年にロンドンで1580万ドル(約19億4000万円)で競り落とされたストラディバリのバイオリン。今回の競売は、この記録を塗り替える可能性がある。
「ダビンチ、エクス・ザイデル」は現在、日本のコレクションが所蔵しており、競売前にロンドンやベルリン、北京、上海、香港、東京、ニューヨークで展示される予定。