ロシアのメディア検閲機関ロスコムナゾル(Roskomnadzor)は、ボランティアで運営されているオンライン百科事典ウィキペディアに対し、ロシア人に「誤った情報」を与えている侵攻に関する記述の削除を要求したと発表した。
ロスコムナゾルは、どのような記述が問題なのかを詳しく説明していないが、ロシアのウィキペディア編集者が今月初めにViceに語ったところによると、当局は、ウクライナ市民とロシア軍の死傷者に関する記述を放置するとアクセスを遮断すると脅したという。
ウィキペディアの運営元のウィキメディア財団はフォーブスのコメント要請にまだ応じていないが、3月3日の声明で、「メディアを検閲し脅迫しようとする動きに直面しても、引き下がることはない」と述べていた。
ロスコムナゾルは29日、グーグルに対しユーチューブの動画の削除を求め、従わない場合は最大800万ルーブルまたはロシアにおける年間収益の20%の罰金を科すと脅していた。
ウクライナ侵攻の開始後、ロシア政府はフェイスブックやインスタグラム、ツイッターへのアクセスを遮断したため、ユーチューブはロシア国内でサービスを維持している最後の米国の主要なソーシャルメディアプラットフォームとなっている。
新たに成立した検閲法で、ロシアによるウクライナ侵攻を「戦争」や「侵略」と呼んだり、ロシア軍の「信用を落とす」情報を提供する行為は、ロシアでは犯罪とされている。
国内に残る数少ない独立系メディアで、ドミトリー・ムラトフ編集長が2021年のノーベル平和賞を受賞したロシアの新聞「ノバヤ・ガゼタ」は28日、当局から複数の警告を受けたため、ウクライナ侵攻が終了するまで運営を停止すると発表した。