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2022.04.01 16:30

「LINE NFT」 はソフトバンク経済圏の確立か CEOに聞く、真の狙い

LVCの林仁奎CEO(撮影=松永裕司)


「ウェブ3.0では、『所有という概念』を拡張することになります。(NFTを)ユーザーが所有する、もしくはその権利を移転させる、その際、どのような『想い』で移転させるのか、その点を再定義する必要があります。
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「売る」ということだけにフォーカスすると『錬金術』としてクローズアップされてしまいますが、重要なのは、NFTはもともと著作権者にこそ、最も大きなメリットを与える点です」と強調した。

確かに著作権保護については、NFTを伝えるうえで我々メディアも力点をおく必要がありそうだ。

高値で取引される名画なども同様だが、一度画家の手を離れてしまえば、その後にどれほど高額で売りさばかれようが、画家の手元に残るのは、最初に売った際の金額のみ。
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しかしNFTは、小額で画家の手元から離れようとも、二次流通の際に高額で譲渡された場合、最初に手放した画家もその恩恵に預かることができるカラクリになっている。

これはすべての著作権者に当てはまる。書籍であろうが、ウイスキーであろうが、「転売ヤー」が高額取引を公然と行いならも、モノづくり側には、文字通り一円も恩恵をもたらさない。「転売ヤー」が潤うだけとなっているのが、現在の物理的取引だ。

これがNFTとなると、必ず著作権者に還元されるという最大の長所でもある。

「NFTはきみのもの!」


「(NFTは)日本のユーザーが著しく少ない。『NFTは高い』という概念が先行するのは問題で、本来は応援するコンテンツです。LINE NFTは、そのコンテンツの価値を高めるためのプラットフォーム。

まずは著作権の保護を念頭に置きながら、このツールが全員に行き渡り、全員がNFTを発行できる世の中、クリエイター、コンテンツ・ホルダー、コレクターの全員がハッピーになれる世の中を作って行きたいと本気で考えています」

ひと口にNFTと言っても、パブリックチェーンを用い自身で作成するとなると結局、ブロックチェーン開発が可能なエンジニアが必要だ。それこそが日本では、NFTのハードルを高くしてしまっている要因のひとつ。

LINEは日本の規制に合わせ、NFTの発行、審査、申請までを容易にする。APIを開放しており、誰でもNFTを作り出し、誰もがNFTを保有できる将来を目指す。

今回、LVCのキャッチフレーズは「NFTはきみのもの!」

なるほど一部の人に限られたNFTの世界を、すべての日本人に開放するLINEの試みは、日本に新しい時代をもたらすかもしれない。

文・撮影=松永裕司 編集=露原直人

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