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2022.04.01

福岡発、全国へ。特撮ヒーロー「ドゲンジャーズ」とは?

「ドゲンジャーズ」(画像左から:吹王火剣フクオカリバー、天元の勇者エルブレイブ、営業部ヒーロー課ヤマシロン、ルーキー、薬剤戦師オーガマン、キタキュウマン、ヤバイ仮面)(c)DGN3


例えばシーズン2では、スポンサー企業である大賀薬局の看板を使ってヒーローと怪人が戦闘するシーンがあった。「CMだけでなく本編の中でも積極的に宣伝される」というPR手法に対する地元企業の評判は高く、現在福岡エリアの70社がオフィシャルスポンサーに登録している。

また「ドゲンジャーズ」は、制作費の調達手段としてクラウドファンディングを活用している。2021年6月に実施した「キタキュウマシン弁償プロジェクト」では、番組内でキタキュウマンが爆発させてしまった乗り物「キタキュウマシン」の“弁償代”として制作費の支援を募り、目標額を大幅に超える2100万円を調達した。

ストーリーと絡めたプロジェクト設定はファンの共感を呼び、これまでの調達総額は7400万円を超える。支援者の約半数は九州以外の居住者であることから、ドゲンジャーズが全国的な人気を獲得しつつあることが伺える。


(c)DGN3

「ドゲンジャーズ〇〇版」で世界展開も?


「『ドゲンジャーズ』を福岡だけのヒーローにするつもりはない」と、下青木は語る。視聴チャネルやエリアを拡大してきたのは、九州にゆかりのない人たちにも番組を観てほしいという想いがあるからだ。

「当面はこのまま全国展開を続けて、『ドゲンジャーズ』がどこまで受け入れられるかを確かめたいです。でも将来的には、エリアごとに新しい『ドゲンジャーズ』を立ち上げる戦略に切り替えるかもしれません」

下青木によると、全国には「キタキュウマン」や「オーガマン」のようなご当地ヒーローが何百と存在する。そうしたヒーローを起用して「ドゲンジャーズ〇〇県版」を次々と生み出し、全国に「ドゲンジャーズ」のビジネスモデルを展開することも考えているという。ゆくゆくは本格的な世界進出も視野に入れているそうだ。

「その際にネックとなるのは、番組制作に要する工数です。ストーリーの面白さを保ちつつ、各スポンサーの要望を反映させるのは非常に手間がかかるので、今と同じやり方で拡大するのは難しいでしょう。ただそうしたプロセスに手を抜かないことが、ドゲンジャーズの面白さの源泉ではあるのですが」

九州のご当地ヒーローたちが生み出した地方ビジネスは、どこまで日本を盛り上げてくれるのだろうか。まずはこの4月に放送が始まる新作を楽しみにしつつ、新たな展開に期待したい。

文=一本麻衣 編集・写真(人物)=松崎美和子

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