ビジネス

2022.02.16

見えてくるのは「明るい未来」日本のスタートアップ6社

「スタートアップ新世代」の躍動──。「Forbes JAPAN」が見たスタートアップ・シーンのテーマは2021年も変わらない。むしろギアチェンジして「加速・拡大・進化」している印象だ。海外機関投資家の資金流入にともなう、華やかな大型資金調達の動きからVCによる創業期への投資拡大まで、全ステージでの飛躍的成長が見られる。

次なる主役、200社の日本のスタートアップ大図鑑を本誌にて掲載。本記事では6社をピックアップ。


イーロン・マスクも認めた 宇宙用汎用作業ロボット 中ノ瀬 翔|GITAI Japan




2021年8月、イーロン・マスク率いる「スペースX」のロケットが国際宇宙ステーションに到着。そこに搭載されたのがGITAI Japanが開発した宇宙作業用ロボットアームだ。宇宙産業は20年後に市場規模約100兆円に達すると予測されている。惑星探査、宇宙旅行など輸送を担う企業は数多あるが、宇宙で活動するロボットの開発はまだ珍しく、同社はその第一線を走る。

10月には船内での実証実験を開始し、自律制御によるスイッチ切り替え作業やパネル組み立てに成功。宇宙空間でのさまざまな作業をロボットに代替させ、宇宙飛行士の打ち上げにかかるリスクと訓練費等も含めた高額なコストを大きく抑えられる時代に一歩近づいた。

CEOの中ノ瀬翔が当初注力したのは、少数精鋭で事業を軌道に乗せること。そこで「ロボット工学の最高の頭脳」と呼ばれるSCHAFTの創業者・中西雄飛とその弟子にあたる上月豊隆を迎えた。部品づくりからロボット完成まで社内で完結させることで精密性・信頼性の高い製品を安くつくることに成功している。

目標は、宇宙に数万〜数十万台のロボットを配備すること。「最初に電力や通信を確保すれば、あとはロボットで月面基地や居住地などを建設できる」と中ノ瀬は目を輝かせながら語った。

なかのせ・しょう◎1987年生まれ。日本IBMを経て、2013年にインドでITベンチャーを設立。同社を売却後、16年にGITAIロボットのプロトタイプ開発を始め、同年GITAIを創業。

「新しい旅行」をつくる デジタル旅行代理店の先駆者 篠塚孝哉|令和トラベル




2021年4月、篠塚孝哉は令和トラベルを創業し、海外旅行事業に挑むことを発表した。その2カ月後には、22.5億円の巨額の資金調達に成功。投資家たちが評価したのは、コロナ禍で大打撃を受けた観光業界を盛り上げたいという篠塚の志だけではない。リクルート時代に大手ホテルチェーンやリゾートホテル、旅館の企画営業を担当し、退職後には宿泊予約サイト「Relux」を立ち上げ運営後、売却するという連続起業家としての篠塚の実績に寄せられる期待は大きく、「これまでに築いたネットワークと信用貯金のおかげ」と篠塚本人も話す。

今後の展開で篠塚が最も力を入れるのは、海外旅行の予約アプリだ。紙のパンフレットや旅行条件書が象徴するように、既存の海外旅行事業では、いまだデジタル化がされていない部分が多い。篠塚はそこに勝機を見いだし、海外旅行に必要な手続きをアプリで効率化していくという。さらに、ひとつのアプリ内で航空会社や宿泊先を縦断的に閲覧できるプラットフォームを構築し、顧客が価格や旅行条件等のスペックを比較しやすい環境を整える予定だ。「令和時代を代表するデジタルトラベルエージェンシーにする」。そんな篠塚の野望が、「令和トラベル」という社名に込められているのだ。

しのづか・たかや◎1984年生まれ。リクルートを経て2011年Loco Partnersを創業、13年に「Relux」を立ち上げる。20年同社代表取締役を退任、21年に令和トラベルを設立。
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この記事は 「Forbes JAPAN No.089 2022年1月号(2021/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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