ビジネス

2022.02.16 12:30

見えてくるのは「明るい未来」日本のスタートアップ6社


私らしい働き方、生き方の発見 「熱狂して生きる世の中」を 福田恵里|SHE




「一人一人が自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を作る」。SHEのビジョンだ。「老若男女問わずサービスを利用してほしいけれど、特にまだ自分の可能性に気づけていない女性にこそ参加してほしい」と代表取締役の福田恵里は語る。同社運営のキャリアスクールではWebデザイン、マーケティング等のクリエイティブスキルを磨く講座を開設しこれまで3万人以上が学んだ。ミレニアル世代が主なターゲットだが、60代女性がWebデザインを学ぶなど受講生の幅は広い。

SHEのレッスンは、年の近いはたらく女性が講師であり、月1回のコーチングや受講生同士のつながりがある点が人気を博している。満足度が高く、受講生がそのまま同社のスタッフになることも。「レッスンを受け、自分が潜在的にもつスキルやそれをどんなかたちで社会に還元できるかを見いだせた」と話す女性も多く、「女性だから、母だから」という呪縛を乗り越えキャリアに向き合えた受講生の喜びがうかがえる。

次の目標は「親」だけでなく「子」への教育も提供すること。SHEで学ぶ親を見て、子にも自分らしく生きていく術を学ばせたいと福田は言う。同社は男女共に使えるケア休暇やベビーシッター補助等の制度も取り入れ、誰もが能力を最大限に引き出し活躍できる社会を目指す。

ふくだ・えり◎1990年生まれ。大学卒業後、リクルートを経て2017年にSHEを設立。20年、同社代表取締役CEOに就任。21年11月、初の関西拠点「SHE Umeda」をオープン。

「新たな金融サービス」共創で お金を通して若者の挑戦支援 矢部寿明|Crezit Holdings




決済の裏側を担う「与信」に着目したのが、Crezitの矢部寿明だ。学生時代にカード停止や家賃保証審査に落ちて与信回復に何年もかかると知り、金融業界の仕組みに疑問をもった。そこで同社は金融ライセンスを取得し独自の与信サービスを立ち上げ、それを元に金融サービス構築に必要なシステム基盤とオペレーションを提供する「Credit as a Service(CaaS)」を開発した。

CaaSの画期的な点は、新たに消費者信用事業に参入しようとする企業が、サービス立ち上げにかかる費用と時間を大幅にカットできること。与信を元に貸金・割賦販売を行うサービスづくりには多額のコストがかかるため、従来は大資本をもつ事業者しか参入できなかった。Crezitが提供するサービスは、不動産やブライダルなど、金融以外の業態を展開する企業が顧客データを活用した金融サービスを始めやすくなり、自社のサービスを提供する際に顧客の資金繰りもセットで提案できるようになる。

CaaSを使う企業が増えれば、フリーランスやスタートアップの経営者といった既存の与信審査には通りづらかった人が、引っ越しや結婚の機会を逃すのを防ぐことにもつながる。矢部は「若い人がもっと積極的に挑戦できるよう、金融の面から応援していきたい」と強く語った。

やべ・としあき◎1993年生まれ。大学卒業後、GEを経て18年、BASE入社。子会社BASE BANKの立ち上げ、「YELL BANK」の企画・開発や融資事業に携わる。19年Crezitを創業。

この記事は 「Forbes JAPAN No.089 2022年1月号(2021/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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