AWSの第4四半期の売上高は、前年同期比40%増の178億ドル(約2兆円)で、営業利益は32%増の52億9000万ドルを記録し、アマゾンの全部門の中で最も収益性の高い部門としてのポジションを維持した。アマゾンの株価は時間外で15%上昇した。
アマゾンのCEOに昇格したアンディ・ジャシーの後任として、10ヵ月前にAWSのトップに就任したセリプスキーは、いくつかの困難にも直面している。AWSでは昨年末に3件の大規模な障害が発生し、顧客企業の間で、単一のクラウドベンダーに依存することへの懸念が高まった。
しかし、12月に開催されたAWSの年次カンファレンス「re:Invent」で、セリプスキーは顧客に対し、マルチクラウドの機会を求めるのではなく、AWSにこだわるべきだと明言した。
この点を強調するために、彼はユナイテッド航空のチーフデジタルオフィサーであるリンダ・ジョジョをカンファレンスの壇上に招いていた。ジョジョは、「他のベンダーを検討した結果、AWSが、我々にとって唯一の本当の選択肢であることを確認した」と述べていた。
AWSは、ここ数カ月の間で、Metaやゴールドマン・サックス、Best Buyなどの企業と新たなパートナーシップを結んでいる。
しかし、セリプスキーのビジョンは、業界のトレンドに逆行しているようにも見える。クラウド分野ではマイクロソフトのAzureの勢いが増しており、アメリカン・エクスプレスやトヨタなどのAWSの顧客も、複数のクラウドベンダーを利用することの重要性を訴えている。
業界トップのAWSは、マイクロソフトのAzureの約2倍の規模を維持しているが、Azureとグーグルクラウドの第4四半期の成長率は、それぞれ前年同期比46%と44%に達していた。
今後、AWSがその成長率とシェアを維持できるかどうかは、セリプスキーの手腕にかかっている。調査企業FuturiomのチーフアナリストのScott Raynovichは、「彼の実力はまだ分からない」と述べた。