つまり、三菱の軽EVは、現実路線に舵を切ったと言える。同車は、ルノー日産・三菱アライアンスを組む日産と共同開発なので、似たような外観のデザインだと食い合ってしまう。そこでパートナー同士で差別化を図ったと思う。K-EVのプラットフォームはEV専用だけど、外観はあえてガソリン車と同じようなスタイリングにしているわけだ。日産はおそらくもう少し未来感のあるEVを出してくるだろう。
おもしろいことに、三菱はこの軽のことを「コンセプト」とか呼んでいるけど、同車は99%量産車と言い切っても大丈夫だろう。でも、この「K-EV」の正式な車名はまだわからないので、つまり、おそらくeKクロス/eKワゴンと同じシリーズのモデルということになるのだろう。ガソリンエンジンの両モデルに試乗した印象を思い返してみれば、eKクロス/eKワゴンのシャシー剛性がかなり高かった。企画段階からEVモデルを想定して開発していただろうことがうかがい知れる。
さて、パワートレーンはどうだろう。駆動用バッテリーの総電力量は20kWhで、1充電での走行可能距離は約170kmと三菱はいう。充電方式は200Vの普通充電とCHAdeMO方式の急速充電に対応している。車両価格は、補助金などを差し引くと200万円を切るかどうかがポイントだと思う。EVの普及に大きく左右するのは、三菱が200万円を切るEVが出せるかどうか。
発売時期は長引くコロナ禍による半導体の部品供給にもよるが、2022年度初頭の販売が計画されている。同時期に、日産からも姉妹車にあたるモデルが発表されるはずだ。
国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」
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