その背景には、出生率の継続的な低下や海外からの移民の最終的な数(転入する人と転出する人の数の差)の減少に、新型コロナウイルス感染症の流行がもたらす影響が拍車をかけていることがある。ここでは、人口が特に大きく変化した州を紹介する。
ニューヨーク州の人口は米国で最大の下げ幅を記録し、31万9020人減っていた。国勢調査局は、国内からの転入者の数の減少を原因として挙げた。
また同局によると、カリフォルニア州やイリノイ州、マサチューセッツ州、ルイジアナ州、ペンシルベニア州、ミシガン州、ニュージャージー州、オハイオ州もそれぞれ1万人以上人口が減っていて、人口減を経験した州の数は歴史的に見て多かった。
首都ワシントンの人口は過去1年で2.9%減少し、米国で最大の減少率だった。
テキサス州は1年の人口増加数が最大で、31万288人だった。2番目に多かったのはフロリダ州で、21万1196人だった。
アイダホ州の人口は2.9%増加し、増加率は米国で最大だった。
国勢調査のデータによると、米国の人口は過去1年で39万2665人増えた。人口増の内訳としては、自然増加(死亡数に対する出生数の超過)が14万8043人、海外からの最終的な移民数が24万4622人だった。国勢調査局によると、海外からの移民が自然増加を上回ったのは初めてのことだ。
国勢調査局の人口部門で働く人口統計学者クリスティー・ワイルダーは「出生率の低下と海外からの移民の最終的な数の減少、同時に米国の高齢化が進んでいることによる死亡率の増加が理由で」、人口の伸びは長年停滞してきたと指摘。「現在は新型コロナウイルス感染症の流行による影響もあり、この組み合わせが歴史的な低成長につながった」と述べた。
ただし、海外からの移民の最終的な数は50州とコロンビア特別区の全てで増えていて、特に増え幅が大きかったのはフロリダ州、テキサス州、ニューヨーク州だった。