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2022.01.08

今もなおWeWorkに期待するイスラエル人投資家の長期的視野

Getty Images

イスラエルに本拠を置く投資会社「Aleph」の共同創業者であるマイケル・アイゼンバーグ(Michael Eisenberg)は、物議を醸している投資先2社の成長性に強気の見通しを示している。その内の1社は、市場から見放されたように見えるが、アイゼンバーグはこの企業への投資によって、2021年の欧州版ミダスリスト(最も活躍したベンチャー投資家ランキング)で昨年の11位から8位に順位を上げた。

現在50歳のアイゼンバーグの投資ポートフォリオには、最近上場したウィーワーク(WeWork)と保険会社のレモネード(Lemonade)が含まれる。ウィーワークは、SPAC(特別買収目的会社)を通じて10月に、レモネードは従来型のIPOで2020年7月にそれぞれ上場を果たした。

両社とも株価は上場初日から下落している。現在の時価総額は、ウィーワークが約60億ドルで、上場前の評価額470億ドルの数分の1となっており、レモネードも30億ドルと、年初の半分以下となっている。

アイゼンバーグはこの2社への投資でこれまで、エグジットの機会が何度かあったものの、今でもポジションの半分程度を保有し続けている。「短期的な株価の変動で保有株の売却を決めることはせず、投資先の長期的な成長性を確信しているのであれば、保有し続ける」と彼は話す。

アイゼンバーグは、投資先との連携を重視しており、Alephもその点を強みとしてアピールしている。彼によると、グローバル化を目指すスタートアップが増える中、世界各地に拠点を持つ大手企業が、投資先のライバルを支援する可能性が高まっているという。ドットコムバブルの頃と違い、こうした戦術は許容されるようになっている。

「正しい意思決定」のための原則


それでも、アイゼンバーグは特定の領域で1社にコミットし、その企業がグローバル競争で勝者になるよう支援することによって、VCにとっての顧客である起業家から信頼を勝ち取ることができると考えている。

アイゼンバーグは、パキスタン版ドアダッシュとトルコ版ドアダッシュの両方に出資したり、プレイドのような米国のユニコーン企業のローカル版を探すようなベンチャーキャピタルの投資手法に注意を促している。

彼は、自身の子供だけでなく、起業家たちにも世界に対する理解を深めてもらうため、旧約聖書を用いて経済や会社設立の教訓を学ぶ書籍シリーズを執筆している。彼は、これまでにヘブライ語で3冊の本を執筆しており、そのうちの1冊である「The Tree of Life and Prosperity」は英訳されている。

「世間は混乱しているため、正しい意思決定を行うために普遍的な原則を学びたいと考える人が増えている」とアイゼンバーグは話す。

アイゼンバーグは、ウィーワークとレモネードの上場までの道のりや、上場以降のジェットコースターのように浮き沈みの激しい状況から何を学んだかと聞かれ、スタートアップ同士を比較することは、起業家にとって大して意味がないと指摘した。

アイゼンバーグが欧州版ミダスリストに選出された理由は、この2社への投資だけではない。彼は、腎臓病の検査を行うHealthy.ioや、評価額が40億ドルを超えるB2B向け決済ソリューションのMelioの初期投資家でもある(両社とも、米国支社を設立する前に、イスラエルで事業を立ち上げていた)。

編集=上田裕資

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