アグレッシブな売上予測とは?
これは、「何を売上予測の基準率とするべきか?」という疑問を提起している。この研究では、分析したSPACの売上CAGRの中央値は28%だった。これは高い数字だ。
比較のために紹介すると、1950~2015年までに実際に達成された、幅広い分野の企業の売上成長率についてマイケル・モーブッサン(Michael Mauboussin)が分析したところによると、売上成長率の中央値は5%だった。28%ではない。
もちろん、SPACの買収対象(ターゲット)は、平均より速く成長するだろうと思う人もいるかもしれない。実際、だからこそ見いだされ、市場に出されたのかもしれない。
とはいえ、モーブッサンのデータによれば、25%を超える売上成長率を3年間にわたって維持できる企業は8社に1社だという。そして、10年間維持できるのは40社に1社にすぎない。
したがって、「高望みされた予測」をSPACが実現する可能性がないわけではないが、基準率がなんらかの指針になるとするなら、SPACの半分ほどがそうした予測を達成できると期待するのは、おそらく希望的観測だろう。
株価の成績
したがって、悲しいことに、この結果は投資家にとってはよいものではない。これまでの例から見ると、合併後も数年にわたってSPACの株式を維持した場合、SPACの成績は一般に、市場を下回ることがわかっている。だが、投資家にとって最悪の成績に陥るのは、最もアグレッシブな姿勢の強い売上予測を示したSPACかもしれない。
最も高い成長率を約束したSPACは、合併後最初の1年の投資家の利益という点で、市場から70%以上も遅れをとる可能性がある。成長率予測が、下から4分の1の範囲に収まるSPACの場合は、平均10%あまり下回るのにすぎない。それでもすばらしいとは言えないが、アグレッシブな予測をしたSPACと比べればはるかにましだ。
つまり、資産クラスとしてのSPACが長期的に達成するパフォーマンスは低い。28%以上という極端にアグレッシブな売上成長率予測を示しているSPACの株を保有しているのなら、そろそろ本格的に心配するほうがいいかもしれない。