30U30

2021.10.23

「無駄づくり発明家」藤原麻里菜のアイデアの根源とは?

無駄づくり発明家 藤原麻里菜

次代を牽引する新しいリーダーを発掘し、ビジネスからサイエンス、スポーツ、アートなど多彩なジャンルから30人の才能に光をあて、その活動をForbes JAPANとしてエンカレッジしていくことを目的としている「30 UNDER 30 JAPAN」。

今年、各分野に精通した専門家や業界オーソリティ、過去受賞者で構成されるアドバイザリーボードと編集部で審査を行い、アート部門の受賞者として選出されたのが、藤原麻里菜だ。



「オンライン飲み会緊急脱出マシーン」や「医者の手書きフォント」など、藤原麻里菜がこれまでつくり上げた「無駄なもの」は200個以上。英語で定期的に新作をアップしているインスタグラムには、ファンたちが日本語、英語、中国語で多くのコメントを残している。もともと海外を視野に入れていたわけではないが、「私がつくる『無駄』で世界中の人に等しく笑ってもらえたらいいなと思うようになった」という。


──無駄づくりのアイデアの根源は?

自分が日々感じるねたみや嫉妬がアイデアの元。「Twitterでバーベキューと呟かれると藁人形に五寸釘が打ち付けられるマシーン」は、私がバーベキューに誘われたことがないことへの恨みの結晶です。それを発明品として形にすることで負の感情が昇華できて、すごく爽やかな気分になりました。

でも、例えばその昇華の方向を「嫌いな人を殴るマシーン」にしてしまうと、誰かを直接的に傷つけることになり、後味がよくない。「嫌いな人が転んだときに教えてくれるマシーン」にすれば、私もスッキリできる。かたちにしたときに自分が「爽やかな気持ちになれるか」という納得感を大切にして発明をしています。



──無駄なものとそうでないものの差は?

世の中のほとんどのものは、必要かのように見える無駄なもの。例えば、無駄を排除しようとするミニマリストも、無駄を排除した先に結局、余白という新たな無駄を生み出している。対極な立場なようで、根底では同じ。必要か不必要かをジャッジするのではなく、あえて「無駄」という言葉でくくることで物事に寛容になれる気がします。

──首相になったら何をする?

「アート」と「テクノロジー」を一緒に学ぶことのできる授業をつくる。両方を合わせて表現の手法を増やすことで、日本に面白いものが、さらに生まれる気がしています。


ふじわら・まりな◎1993年、神奈川県生まれ。2013年、東京NSCを卒業、YouTubeチャンネル「無駄づくり」を開設。18年には、「無用發明展─無中生有的沒有用部屋in台北」を開催。

文=菱山恵巳子 写真=映美

この記事は 「Forbes JAPAN No.088 2021年12月号(2021/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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