バンセルCEOはスイス紙ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングの取材に対し、ワクチン生産が世界的に加速していることから、来年半ばまでには世界中のすべての人にワクチンを供給できるだけの生産が可能になるとコメント。
さらに、「通常の状態に戻れる時期」に関する質問に対し、今のところ「1年後には、と思っている」ことを明らかにした。
また、感染力の強い変異株のデルタ株が世界中に急速に広がっていることから、ワクチン接種を受けないことを選択した人は「(感染によって)免疫を獲得する」ことになると指摘。デルタ株に感染したり、入院したりするリスクを抱えながら、この冬を過ごすことになると語った。
同CEOによると、(初期に)モデルナのワクチンを接種した人たちには、間もなくブースターショット(追加接種)が必要になる。追加接種でのワクチンの用量は、すでに受けた接種時の半分になるという。
モデルナは現在、2022年に実施する追加接種用のワクチンのベースとなる「デルタ株向けに最適化した」ワクチンの臨床試験を実施している。
求められる「不平等」の是正
オックスフォード大学が運営する「Our World In Data(データでみる私たちの世界)によると、少なくとも1回のワクチン接種を受けた人が世界人口に占める割合は、9月24日時点で43.9%となっている。
だが、この割合は、高所得国と高中所得国で60%以上が少なくとも1回の接種を受けていることによって、大きく歪められている。低中所得国と低所得国で接種を受けた人は、それぞれ30%未満、2.1%にとどまっている。
ワクチンを巡る世界的な不平等については、9月21日から開催されている国連総会の一般討論でも指摘されている。ノルウェーのエルナ・ソルベルグ首相は首脳演説の中で、欧州ではワクチン接種を完了した人が2人に1人であるのに対し、アフリカでは20人に1人に満たないことに言及。
問題を是正すべきとの圧力が高まる中、ジョー・バイデン米大統領は、すでに表明していた5億回分の寄付に加え、米ファイザー製ワクチン5億回分を購入し、追加の寄付を行う方針を発表している。