しかしながら、リサイクルされる都市廃棄物の量も、2010年の360万トンから2019年の164万トンに減ってしまったそうだ。その結果、埋め立て処分される都市廃棄物の量は333万トンから404万トンに増加している。単純にごみの総量を見るだけでなく、リサイクルされた量も含めて考えることが大切だ。
そんななか、2020年11月に香港にオープンしたバー「Penicillin(ペニシリン)」は、資源を循環させることを意味する”クローズドループな”取り組みを行っており、2021年に開催された「Asia’s 50 Best Bars(アジアのベストバー50)」というアワードで、サステナブルなバー賞を受賞した。
同店の大きな特徴は、リユースやリサイクルに力を入れて廃棄物ゼロの店を目指していること、サプライチェーンにおけるCO2排出量の最小化に努めていること、そして店内の家具や備品までもリサイクルされたものを使っていることだ。
Image via Penicillin
抗生物質のペニシリンから名前をとったというこのバーには、ラボと呼ばれる空間があり、スタッフたちが廃棄物を最小限に抑えるべく、科学的な方法に基づいた試行錯誤を繰り返している。たとえば、キャッサバ(常緑低木)チップの余った部分を絞ってジュースにしたり、レモンの皮を乾燥させてカクテルの飾りにしたり、ラム酒に使用済みの茶葉を使ったりと、さまざまなアイデアが生まれている。
製品が消費者に届くまでのサプライチェーンにおいては、お酒を配達してもらう際のCO2排出量を減らし、ガラス瓶のごみも減らすため、繰り返し使える4.5リットルの容器にお酒を入れて届けてくれるサービス「ecoSPIRITS」を利用している。バーでは、この大きな容器から自分たちの酒瓶にお酒を詰め替えることができ、空になった容器は新しいお酒が届く際に回収される。Penicillinによると、この取り組みでカクテル1杯あたり150グラムのCO2を削減できるそうだ。
Image via Penicillin