勝ち負けじゃない。生産的な議論をするための5つのコツ

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ディン・ジェンキンスにとって、厳しい状況に直面するのはなじみのないことではない。彼は米国マサチューセッツ州ストートンの巡査部長で、護身術の講師や、地域危機交渉チームの一員でもある。

ジェンキンスはこうした経験を基に、「Supply the Why」を創業して最高経営責任者(CEO)を務めている。Supply the Whyは、難しい話題(特に多様性やインクルージョン/包摂性に関するもの)について議論するトレーニングを提供する企業だ。

ジェンキンスは、こうした難しい会話をより楽に、そして生産的に行うための5つのステップを共有している。ここに挙げるステップは、人種や平等に関する重要な議論をより容易にしてくれるだけでなく、厳しい話題を持ち出さなければならないあらゆる局面で役に立つ。

1. 小さな規模から始める


議論の規模は重要だ。多くの人と議論することは難しく、人々が感情的になるような議題であればもはや不可能だ。グループの規模が大きくなるにつれ人間関係が劇的に変化し、ジェンキンスが「群れの真理」と呼ぶものが生まれる傾向がある。

「これは人間の習性だ。人はより快適な状況に引かれ、自分と同じ価値体系を持つ人に引かれる」とジェンキンス。「小さな規模から会話を始めるべきなのも、こうした理由だ。こうした状況では、マンツーマンが最適だ」

2. 現実的な期待値を持つ


難しい会話に臨む際には、自分が達成できることや相手の視点・理解に関して合理的な期待値を持つことが重要だ。一度の会話で難しい状況を打開できることを期待しないこと。感情が高まっている場合はなおさらだ。

議論が進むにつれ理解が深まるだろうが、相手があなたと元々全く異なる視点を持っていた場合は、問題について探り理解する上でより多くの時間が必要かもしれない。ジェンキンスはこれを「会話のラザニア」と呼んでいる。それぞれの層が議論を追加し、構築していくためだ。

人は安心できる状態でなければ学びを深め成長することができない。そのためこのプロセスでは、相手が快適だと感じられるようにするのが重要だ。相手が最初は非現実的、あるいは無知な状態だった場合もこれを軽蔑しないこと。そうでなければ、相手は自己弁護に走るかもしれない。
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翻訳・編集=出田静

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