アップルに詳しいウェドブッシュ証券のアナリストのダン・アイブスは、「多くの米国のテクノロジー企業とは異なり、アップルは中国の政治情勢をうまく切り抜けている」と述べた。
7月27日の株式市場では、テンセントが過去10年間で最悪の株価下落に襲われ、フードデリバリーからオンライン学習まで様々な中国のテック企業の株価が暴落したが、アップルが同日発表した4〜6月(第3四半期)の業績はウォール街の予想を上回り、四半期の売上高が初めて1000億ドルを突破した。
アップルの中華圏(中国本土と香港、台湾)での売上は前年同期比58%増の148億ドル(約1兆6200億円)だった。
テクノロジー業界に厳しい態度をとる中国政府は明確なメッセージを発信している。それは、規律を保つためには、巨大な経済的損失をも恐れないという姿勢だ。
「中国政府はテンセントやアリババ、JD.comなどの企業が、大きくなりすぎることを望んでいない。一線を超えた企業に対しては、容赦ない措置に出る」と、米国の大手投資機関ローゼンブラット証券のアナリストのMark Zgutowiczは述べている。
アップルは、製造サプライチェーンを中国と台湾に置いており、中国は同社にとって重要な顧客であると同時に古くからのパートナーでもある。一方で、中国政府にとってアップルは、ファーウェイやOPPO、Vivoなどの中国企業が大きくなりすぎることを防いでくれる存在だ。
アップルも中国政府の規制と無縁ではなく、2017年に、中国がテクノロジー企業にユーザーのデータを国内に保存することを義務づけた際に、アップルは中国に2つのデータセンターを建設することで合意した。同社のティム・クックCEOは、そのデータを安全に保管すると約束したが、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は5月17日の記事で、アップルがデータセンター内のコンピューターの管理を、ほぼ中国に委ねていたと指摘している。