Sirachai Arunrugstichai/Getty Images

タイ保健省は7月12日、中国のシノバック(科興控股生物技術)が開発した新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けた人に対し、2回目には英アストラゼネカ製ワクチンを使用する「混合接種」を行うと発表した。

ロイターによると、アヌティン・チャーンビラクル保健相はこの新たな方針について、「(感染力がさらに強まったとされる変異株の)デルタ株に対するワクチンの有効性を高め、新型コロナウイルスに対する免疫をさらに高めることが目的」だと説明している。

保健省によると、同国では67万7000人以上がシノバック製ワクチンの接種を完了している。だが、4~7月に同社製ワクチンの接種を2回受けた医療従事者のうち、618人が感染。看護師1人が死亡し、別の医療従事者が重体となっている。6月中旬にはインドネシアでも、同社製ワクチンの接種を完了した医療従事者350人以上が感染、数十人が入院したことが報告されている。

タイでは今後、シノバック製ワクチンで接種を完了した医療従事者には、アストラゼネカ製のほか米ファイザー製、または米モデルナ製のワクチンの接種を行う計画だという。同国では接種を開始した当初、シノバック製ワクチンのみを使用。その後、アストラゼネカ製の接種も始めていた。

最近ではデルタ株の感染者が急増しており、首都バンコクでは12日から、都市封鎖(ロックダウン)が実施されている。

変異株に対する有効性は?


デルタ株による感染は現在、各国で急速に拡大。ワクチンの接種率が最も高い国でも、再び感染者が増加している。そうした中、中国製ワクチンの有効性に対する懸念はますます高まっており、まだ接種があまり進んでいない国の一部は、予定していた中国製ワクチンの受け取りを拒否している。

中国は国営企業であるシノバックとシノファーム(医薬集団総公司)が開発したワクチンの臨床試験が終了する前から、両社のワクチンの接種を開始。品質と有効性の高さを主張し、コロナ禍を被る中での重要な外交政策上のツールとしてきた。

だが、世界保健機関(WHO)から緊急使用許可を得てはいるものの、シノバック製ワクチンの有効性は51%で、承認の基準となる50%をわずかに上回っているにすぎない。さらに、有効性に関するシノバックの主張には一貫性がなく、その主張を裏付けるのに十分な臨床データも公開されていない。

どのメーカーのワクチンの接種を完了した人にも、感染の可能性はある(現在使用されているワクチンはすべて、100%感染を防げるものではない)。2回の接種を完了していていれば発症や重症化、死亡の可能性は低くなるとされるが、感染し、その後に後遺症が残るリスクはある。他社製と比べて有効性が低い同社製ワクチンは、接種完了後の感染の危険性がより高くなる。

医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンには先ごろ、チリで接種が行われたシノバック製の不活化ワクチン「コロナバック」の効果に関する研究結果が掲載された。ワクチンが感染後の「重症化や死を防ぐ効果」はこれまでのところ、高いと考えられるという。だが、感染力が強まったとされるデルタ株に対する有効性は、現時点では明らかになっていない。

編集=木内涼子

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