Anuradha Varanasi is a freelance science writer.

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新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が始まってから、15カ月以上経過した。

フランスとカナダの研究者グループはこのほど、嗅覚の喪失を経験した新型コロナウイルス感染症患者が、最初の感染から嗅覚を回復するまでの時間を分析した。97人の患者を1年間追跡した研究者らは、患者の96.1%が12カ月以内に嗅覚を取り戻したことを発見した。

研究は、米国医師会雑誌(JAMA)のオープン・アクセス・ジャーナル「JAMAネットワーク・オープン」に6月24日に掲載された。

新型コロナウイルス感染症を患う患者の86%ほどが、嗅覚の一部あるいは全てを失うと推定されている。ただ、内科学ジャーナル(Journal of Internal Medicine)に今年1月に掲載された調査によると、嗅覚喪失を経験した新型コロナウイルス感染症患者の55%近くは軽症だった。

研究者らは現在もその原因を調査中だが、軽症の患者は抗体の水準が高く、ウイルスの鼻からの移動が制限されることが原因かもしれないと研究者らは推測している。

とはいえ、嗅覚の喪失により健康問題が生じる可能性もある。ニューヨーク・レノックスヒル病院の医師ロバート・グラッター博士は、健康情報サイト「ヘルスライン(Helthline)」に対し、うつ病や不安神経症の既往歴がある新型コロナウイルス感染症患者は、孤立感により心の病の症状がさらに悪化する可能性があると指摘した。

今回JAMAネットワーク・オープンに掲載された研究の著者である仏ストラスブール大学病院のマリオン・ルノー博士と同僚らは2020年4月、RT-PCR法の検査で新型コロナウイルス感染症と診断され、急性の嗅覚喪失を1週間以上経験した患者グループに関する調査を発表している。

同医師チームはこのほど、患者に対して1年間を通し4カ月間隔で調査を依頼し、さらに精神物理学検査を通して患者の感覚機能を評価した。データ分析は、2020年6月から2021年3月まで実施された。

医師らが評価した97人の患者のうち67人は女性で、調査参加者の年齢中央値は38.8歳だった。患者らは全員、数週間以上続く急性の嗅覚喪失を経験した。

4カ月経過時点の評価では、嗅覚が完全に回復したと報告した患者は23人で、27人は部分的な回復を報告した。さらに精神物理学的検査では、43人の患者が客観的に見て正常嗅覚を持っているとされた。

8カ月後になると、感覚システムの検査では96.1%の患者が完全に回復していることが確認された。1年経過した時点で嗅覚障害を抱えたままだった、あるいは部分的・全体的な嗅覚が消えたままだった患者はわずか2人だった。

同調査では、客観的検査を受けたのは参加者のうちわずか半分で、残り半分は主観的、あるいは自己報告型の評価を行っていたことが大きな制約となっている。

翻訳・編集=出田静

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