市場の44%を占めるビットコインの価格がここ1週間で1%近く下落したにも関わらず、暗号資産市場全体の時価総額は、5月10日の午前0時前に2兆5000億ドル(約272兆円)を超え、過去1週間で2000億ドル以上の増加となった。
時価総額を最も伸ばしたのは、世界第2位の暗号通貨であるイーサで、先週の月曜日から約32%上昇し、時価総額の伸びは約1150億ドルに達している。
JPモルガンは5月7日、イーサリアムの目覚ましい上昇は、機関投資家や一般トレーダーの関心が高まっているためだと述べ、その背景にカナダで世界初のイーサリアムETFが承認されたことや、ここ最近ブームのNFTにイーサリアムが使用されていること、欧州連合の融資部門がイーサリアムのブロックチェーン上で初のデジタル債(1億2000万ドル)を発行したことなどを挙げた。
価格上昇のパーセンテージで見ると、世界10大暗号通貨の中で最も上昇したのは、ビットコインキャッシュ(BCH)だった。2017年に登場したBCHは、ビットコインからスピンオフしたコインで、取引手数料がビットコインよりも安い点がメリットとされている。BCHの価格は先週、41%という驚異的な上昇を見せ、時価総額は260億ドルに達し、9番目に価値の高いトークンとなった。
さらに、2011年に開発された古いトークンであるライトコインも先週38%近く高騰し、2017年のバブルのピークを超える史上最高値の400ドル以上に達した。
その他の大幅な上昇を記録している他の上位トークンとしては、比較的新しいカルダノのADAコインや、イーロン・マスクが盛んに宣伝することで知られるドージコインなどが挙げられる。
世界の10大暗号通貨のうち、イーサを含む5つの暗号通貨が先週、最高値を記録した。過去1年間で、暗号資産の価値は約920%もの急上昇となっている。
今後の動向として懸念されるのは規制の行方だ。4月に米証券取引委員会(SEC)の新委員長に就任したゲーリー・ゲンスラーは5月7日のCNBCの取材に対し、「何かが証券である限り、SECはそれに対して多くの権限を持っている」と述べ、暗号資産取引所に対する規制を進めていく姿勢を明確にした。