ホンダとベライゾン、5G通信で道路の安全性を高める研究を始動

dowell / GettyImages

ホンダとベライゾンは4月8日、5Gセルラー技術を用いて、車と車、車とインフラの通信を進化させるための取り組みを行うとアナウンスした。

両社はミシガン大学にある自動運転車の実験施設「Mcity」で、5Gとエッジコンピューティングを用いて、自動車と歩行者、インフラ間のコミュニケーションを高速化する方法を研究する。その目的は、衝突を回避し交通の流れを改善することだ。

ホンダの先進技術研究部門責任者のEhsan Moradi Pari博士は、「ホンダとベライゾンの共同研究は、コネクテッド・ビークルの安全技術を開発するための複数年にわたる取り組みの重要なステップとなる」と述べた。

この研究は、現時点では製品化を意図したものではないが、「5G対応の車両通信とエッジコンピューティングは、道路を活用するすべての人の安全性を向上させる可能性を秘めている」と博士は述べている。

ベライゾンの技術開発担当シニア・マネージャーのブライアン・ピーブルズによると、同社のパートナー企業は今年中に少なくとも4都市で、5G対応車両の公道テストを行う計画だという。

このプロジェクトの基盤となるのは、ホンダが2017年に開発を開始した人工知能技術の「Safe Swarm(セーフ・スウォーム)」だ。このシステムは、車両同士や道路ネットワーク上のトランスポンダと接続し、ドライバーが検知する前に車両がリスクを検知できるようにする。車両とインフラへ間の通信を用いると、車内のシステムがドライバーにルート上の渋滞や事故を知らせ、代替ルートを提案することが可能だ。

ベライゾンとホンダがテストしたシナリオのひとつは、ドライバーが赤信号を無視するというものだ。ホンダのSwarmシステムとベライゾンのVtoI (Vehicle-to-Infrastructure)ソフトを使用することで、赤信号を突破する車両の脅威を検知し、交差点に近づく他の車両にアラートを送ることに成功した。

また、歩行者が建物や他の車両に隠れて見えない場合や、車内の大音量のオーディオシステムによって緊急車両のサイレンが聞こえない場合などのシナリオもテストした。プロジェクトの初期段階では、人間のドライバーが関与する自動車を対象としているが、将来的には完全自動運転の車両においても、同じレベルの安全性を実現する技術に進化する可能性があるという。

しかし、この技術が威力を発揮するには、必要なセンサーが装備された車両と道路が前提となる。また、歩行者にどのようにしてアラートを送るかも課題となる。

そのためには、既存のインフラに大規模な投資を行い、地域の当局の支援を獲得する必要がある。様々な課題を乗り越えて、この仕組みが実現できれば、米国で毎年4万人以上に及ぶ交通事故の死者数を、大幅に減らすことが可能になる。

編集=上田裕資

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